第17章 幸福に生まれ変われ
表情が本当ころころ変わるな、と思いながら悲しい表情の悟にゆっくりと私は近付いた。
「嫉妬に駆られる僕なんてダサいし。オマエの好きな五条悟で居させて、ハルカ。さっきのは冗談、それで良いよね?痛い思い、させてごめんね…」
近付いた私を片手で引き寄せ抱きしめて、もう片手で何度も頭を撫でてる。悟の肩に少しだけ私の頭を押し付けながら。
余裕をいつも持ってる悟もこんな風に不安になるんだな、と背に緩く回していた手で悟の頭を撫でる。
サラサラとした髪……いつも撫でてる背の高い、悟の頭。
『嫉妬する悟だって好きだよ。確かにちょっと強引で力強く押さえつけられたりしたら痛いし、しょっちゅうされるのは嫌だけれど……。
私だって、過去に付き合ってたっていう女の子の話を聞けば嫉妬するし、なら悟だって同じ様に嫉妬するのならダサくないでしょ。これはお互い様だよ』
私を撫でる手は私の背に。しっかりと抱きしめてる……決して苦しくはない。
「……好きだよ、ハルカ。愛してる。オマエは僕の欲しいものをこうやって色々とくれるよねー……」
『悟が私に色々くれるから返って来てるんじゃないの?』
色々。それは互いに詰め込んでる意味が違うだろうけれど。
私は助けてくれたり、愛してくれたり側で守ってくれる意味を色々に詰め込んでいるけれど悟の色々ってなんだろうな。
クククッ、と笑った悟はゆっくりと私を開放した。本音を隠すような笑顔じゃない、ちゃんと嬉しいとか、楽しいって気持ちでの笑顔。
「今日は疲れたでしょ?一緒にお風呂入ろっか!」
『……うん、入ろっ!』
まだまだ恋人の気分で、ふんわりとした甘い空気。今みたいなムードもあって、今日はお風呂場でしちゃう感じかな?そう私は予想をしていたのだけれど……。
この日の悟はお風呂の最中やベッドの上で私と繋がる事はなく。きっと不安があってその心の隙間を埋めたいのかな……ただ、緩く抱きしめられて眠りに就いた。