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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第17章 幸福に生まれ変われ


155.

かつて自分が身を置いていた職場に悟は呪物を設置し終えて、現在ビル内に居る呪いを祓い終わった後は野薔薇と虎杖ペアと合流して最後の任務をこなした。
人里離れた森の奥地、資材倉庫。大きな倉庫の6箇所ある出入り口、悟含めた5人でそれぞれが同時に入り、資材や積み上げられた道具、資材加工の為の機械の配置を変えるっていう、悪戯する子供みたいな呪霊相手だった。
その呪霊を祓ったのは虎杖。終わったー!とガッツポーズを決めて「先生!メシ!メシ行こうぜっ!」と爆速で任務を終わらせていて、本日のMVPである虎杖のリクエストは肉。そのまま、補助監督生含む7人で向かうのは少し遅めの昼食。
悟の奢り…、立ち食いステーキ店での食事が振る舞われる事となって……。

あー、今日も疲れた!一日に一年で3件もの任務、そりゃあ色々と疲れますわ!……で終わるはずもなく。

何か言いたそうな雰囲気の悟と共に寮の私の部屋に入る。空気が激重い……いつもの様に私が鍵開けて入ってその後に悟が続いて、ドアを締めたら悟が鍵を掛ける。
その時点で。

「……ハルカ、」

『ん?な…──』

何、とも言わせない悟に、左腕を掴んで壁に押し付けられた。
ドッ、と硬い壁を背と腕に感じながら、アイマスク状態の悟を見上げる。
悟は空いた片手を自身の顔まで上げてアイマスクを首までする…、と外した。逆立てていた髪が下がり、隠されていた青い瞳は少し細められていて口元は弧を描いて…楽しそうだけれど、心底楽しんでるって顔じゃない。
そんな表情の悟を見て、思わずはは…と苦笑いが出た。掴まれ壁に押し付けられたままの左二の腕が地味に痛い。

「──で?そのヤマダって男?オマエもそいつもあの会社辞めた後になんかあったの?」

『なんもないよ…』

たまたま辞めた時期が私に近かっただけだろうし、別に想いを伝えたわけでもその後に逢ったわけでもない。一方的な片思い、自分の中だけで終わった恋。業務的な会話だけして、会社の飲み会でちょっとだけ私語を交わして……ただそれだけのなんもない関係だった。
辞めた事すら私は知らなかったんだよ?今日カワカミに聞いて初めて知ったんだから。
背の高い悟は少し屈み、私の目の前まで顔を近付けるとまるで瞳の奥から心まで見通すみたいにじーっと覗き込んでくる。
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