第17章 幸福に生まれ変われ
「そんじゃあ、伊地知は車で待機で。行くよおふたりさん。
ハルカはくれぐれも前に出過ぎない事!今回のこのビルでは出来るだけの術式の温存、主に呪いの引き寄せ役。基本的恵が、祓い零しがあれば僕がやるからね。多分ハルカが居るから忙しいと思うよー!
キミは全員が合流した時が本番くらいに考えておいて、十分に引き寄せて頂戴」
『……了解』
「分かりました」
呪物の入っていないポケットに手を突っ込みながら、自動ドアの入り口から入っていく。ガードマンに呼び止められそうになって、悟はさっ!とポケットから何かを出した。
ネックストラップがぐるぐる巻きにされてる名札、かな?それを見せてそのまま何も言われることなく進んでいく。
後ろから見ていれば、その名札はポケットにすぐに突っ込まれてしまった。
少し進んだ所で、ふふっ、と笑う悟。
「僕くらいになれば顔パスでも良いんだけれどねー!」
「なにかやらかせば顔パスになると思いますよ」
「それ出禁だろー?もうなんでも屋五条悟で全国放送枠のコマーシャルでも出せば良いのかなー、そうすれば水道工事の五条悟よっ!とかインターネット配線の五条悟よっ!って顔パスで疑われる事なく入れるんだと思うんだけれど」
……これ、突っ込めっていうの?
さくさくと先頭を行く悟。隣に歩く伏黒にアイコンタクトを取る。伏黒と目が合い、凄く眉間にシワを寄せられて首を横に振られた。そうだよね、ツッコんだら負けだわ。
私も静かに首を縦に振って、悟には口を適当に動かせておく。
長身に合った歩幅。一歩が大きく前を行く悟がポケットに両手を突っ込んでこちらに上半身をちょっとひねって振り向いてる。