第17章 幸福に生まれ変われ
私については知識や日々体を鍛えること他、任務経験や高専で守られる安全性という効率の良さで学生をやっているようなもの。高専に通わずとも特別なんちゃらとかそういう資格もあっただろうけれど。そういう事を教えて貰う前に悟によって学生ライフというレールを敷かれていた。結果的に学べて力を付けられてるから良いんだけれどさ……。一般教養は一度通過してるから私は抜きにして欲しい、といつも思いながら苦手な数学の授業が終わったところ。
もうすぐホームルーム、その後は私のみ補習。
ペンを回すのを止めてペンケースに入れた。復習なんか今の気分じゃないし。
「ハルカってさ、一族の人をあんたん中に降ろせる様になったんでしょ?アドバイス貰ったりカンニング出来んじゃない?」
野薔薇の言葉に振り向き、やや力なくふふっ、と笑って返す。
『あんまり頭良くないと思うよ?グレた母はバイクを吹かしてるし、婆ちゃんは引きこもりだし、父方は皆も見た通りにお察しで』
「あー不良も大変ねー」
『いやいや私は不良じゃないんだけれどねー、両親共におつむの出来がなんとも……』
アドバイスする力もカンニングするための答えも持ってない。
そんな会話をしてれば教室に入ってくるのは両手をポケットに突っ込んでいる悟。
教室に入るなり私の側で上半身を倒してにこにこしながら至近距離で質問してきた。
「誰のおつむの出来がなんだって?僕の事ディスってた?」
『自意識過剰乙。先生はおつむよりもマインドの方でしょうが、ほら私に絡まずに教卓』
ちぇー、と文句零し気分を切り替えたのかすぐに明日の連絡を皆に向けてし始めた悟。
「明日は朝から外になるよ。都内のオフィスビルと商店街、それぞれふたりずつで向かって貰うんだけれど、それが終わったら合流して次の場所に移動ね。
恵とハルカでビル、悠仁と野薔薇で商店街ねー」