第17章 幸福に生まれ変われ
「買ってきた荷物はこのまま僕が持ってくよ!
……今日のオマエは気を遣わないでマジでゆっくり休んでて」
『お、おう……?ん、ありがと…』
ふざけた後に急に優しくされると寒暖差に頭がちょっとついていけなくなる。わしゃ、と撫でた手。
このやりとりですらも全部奥で聞かれてるでしょ、恥ずかしいんだけれど。悟の後ろに着いて行くと、目の前の上下黒の彼は買い物袋を持った片手を上げて傑に挨拶した。
「よっ、傑!来るなら来るって言えば良いのに~。ハルカに手とか下半身とか出して無いだろうね~?」
「やあ、悟。お邪魔してるよ。下半身をモチーフにしたお土産を選ぶ君に言われたくないんだけれど?」
どさ、と机の空いた場所に袋を置きながら、悟は「そりゃそうだ!」とクククッ、と声を出して笑ってる。
「で、おまけ何が付いてた?」
「泣きっ面にちんこ」
「金太の大冒険よりひでえな、オイ」
『ブフォッ……ううん、なんでもないです、私は居ないものだとして続けて?』
吹き出す私に振り返るふたり。口元を片手で抑え、大爆笑するのだけは抑えねば、と耐えてる。
傑はくす、と私を見て笑った後に悟を見ても笑う。
「君の奥さんは大変に失礼な事をするねえ」
「えー?どこが?ただのちんこ好きなえっちな女の子なだけじゃーん?」
『……そういう事言うと明日パンケーキ作ってやんないからね?』
それはやだぁ!と喚く悟。頬を膨らませつつ、ガサガサと買い物袋を鳴らして中身を漁り始めた。
買い物袋から取り出してはどんどんしまいつつ、私は傑の前の席にもう一度座る。悟は目の前にコン、と"鉄分"と書かれたサプリメントを置いた。
おお…、今私に一番必要な物だ!……驚いた、以心伝心。
思わずにっこりと笑みが出る。
『ありがと、丁度今日サプリメント今度買わないとって思ってたんだけれど』
「でっしょ?そういう所僕スパダリなんで分かっちゃってんのよー……あっ、傑も夕飯食ってく?ハルカと僕とで作るご飯美味しいよ?」
冷蔵庫を開けながら、悟は振り返る。
傑は手を横に数回振った。