第17章 幸福に生まれ変われ
ぐっ!とサムズアップをし、速歩きで玄関へと向かった。こっちから鍵を開けようといた所で、外側から鍵を開けたみたいでガチャン、とドアが開いた。
そこにはアイマスク状態の悟が立っていて。
にこ、と笑った後足元を確認し、キョロキョロと部屋の奥方向を見てる。悟は後ろ手でドアを閉め、きっちり鍵も締める。流石六眼、傑が居るのがちゃんと分かってるみたい。
がさ、という音で視線を下に向ければ色々と買い出ししてきてくれたみたいで袋いっぱいに野菜やら肉やら買ってきてる。
「ただいまー……傑居んの?」
『ん、居るよー?傑さん沖縄のお土産渡したら喜んでたよ(色んな意味で)
「マジ?本気で渡したの?」
ちょっと驚くリアクションを取った悟。お土産の渡し方に本気もクソもあるかっ!と言いたくともここはお客さんが来てるって事で。その言葉を飲み込む。
『……悟、お帰り。あと買い出しありがとう』
両手を買い出ししてきてくれた袋を持とうとしたのだけれど悟は靴を脱ぎつつ一歩前へ。そのまま少し屈んで私の唇へと、ちゅっ、と口付けた。流れるような動作でそのまま固まり、目をぱちくりしてると、悟はここからは見えない、室内に指先をつい、と向ける。
……そっか。一応配慮はしてくれてるん……、
「んっ、僕の愛妻、ハルカちゃんのただいまの可愛いキスを頂きました!」
『配慮はないんかーい!』
思い切りバレてるじゃん!
にや、と楽しむ口元は更に追撃していく。
「もー、帰って速攻飛びかかりーの、ベロチューは僕も上半身は引いちゃう!けど下半身は突っ張っちゃうっ!なんでだろー?」
『下心っ!……じゃなくて!そんな事してないしっ!そうやって嘘ばっか言って!ダブルラリアット食らわすよっ!?』
「ドメスティックファイターのザンギエフ・ハルカさんやめて?」
部屋の奥でクスクスと笑い声が聞こえる。このやり取り筒抜けじゃん。畜生、と見上げて悟を睨むと片手でぽん、と頭に手を乗せられた。