第17章 幸福に生まれ変われ
『……いや、やっぱりネタに走んないでさー普通のちんすうこうにしない?』
「ヘイヘイ、ハルカチキってるぅ~!そこはやっぱり~?選ばれたのは~?」
真顔になる悟は「ちんこすこう!」とはっきり言うもんだから周囲をキョロキョロ確認してしーっ!と黙らさせる。さっきから声が大きい。
とても楽しげな様子で悟はプレーン味を籠につっこんだ。私の買いそうになった思考が軌道修正したのに"はい、傑の分!"と言って。
だから相談は受けたけれど最終的には悟からの提案で決まったものであって。あの時の光景を思い出しながら目の前の下手したらサバ折りするかもしれない夏油を見る。
「ねえ、その場で君は笑ったかい?」
『………………え、えっと、』
ちら、と夏油を見ると頬杖をつきにこにことして見てる。
さっ、と視線を外し沈黙が長いから怒られないかな?と確認した時にはお土産を立ててパッケージを指差していた。爪の先で、こんこん、とパッケージを叩いて。これには笑わざる負えない。
ぶふ、と吹き出しかけて俯く。だめ、声を立てちゃ…っ!やば、肩震えちゃってるわ。ここまで笑いがこみ上げてたらもうどうしようもない。
「おや?どうやら君も共犯者なようだね……?」
『んっ、だ、だって……ふふっ、いや悪気は…っ、』
ちょっと怒ってるのに直ぐ側のパッケージがあるせいでもう駄目だった。
腹を抱えてゴン、と机に額を伏せて笑う。声は必死に耐えたけれど笑っているのは夏油には一目瞭然だと思う。
「君たち夫婦して本当に失礼だよ…」
ひーひー言いつつ、思う存分に声を漏らしながら収まるまで笑った。
笑ったらちょっとだけ耐性が出来たので顔を上げる。にこやかな夏油とこちらに見えるようにわざと立てたパッケージ。
そのままに私はけらけらと笑ってしまった。
『ぶっ!……ちょ、その悲しそうな顔はアカンですよ、パッケージとの温度差っブフォッ、』
「君ねえ……」