第3章 呪術を使いこなす事
引き寄せられていた腕から開放されて、私は力なく玄関に倒れ込んでしまった。
背中越しとは言え人前で……っ!
恥ずかしくて仕方がない、恋愛などそうしない私にとって、悟の恋人ごっこも罰ゲームのキスもそう簡単に慣れないものだから。
倒れたまま、私は左腕で顔を隠す。
「クッソォー!アダルティー・キッスしとったんかい!パパラッチ出来なかったじゃない!後頭部じゃ見えねえ!側面でやれよ!」
悔しがる釘崎の声が頭上で聞こえる。
愉快そうに悟はハッハッハ、と笑っていた。
「悠仁の玄関前にヤムチャポーズのハルカを作っちゃったな~、面白いから記念に撮っとこ」
『……そういう所だぞ、あんた…』
写真を撮るだけ撮って手をひらひらさせながら、満足した悟はまたどこかへと去っていく。
体を起こし、頬や服のゴミをパン、パンと払って玄関内で振り返れば、釘崎が私の肩にパン、と手を置くと彼女はにやりと笑いまた室内へと連れて行くのであった…。