第17章 幸福に生まれ変われ
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部屋のドアを開け、静かな部屋へ戻る。ドアの閉まる音が大きく聞こえて騒がしい悟の声が無いのが少しだけ寂しかったり。
……それから、なんだか初めて夏油と出会った時みたいな部屋での待機になってるな、と硝子の休みを確保する習慣を始めた頃を思い出したり。
軽く朝食を摂ってシャワーを浴び、洗濯してる間に沖縄から送られてきていた荷物整理をする。玄関脇に置かれてた。まあ、冷蔵っていっても海産物などのナマモノはないから良いけれど。
チョコ系大丈夫かなー…。
たくさん生徒が居るわけじゃないから、個別で買ってきちゃった。後でお土産を配ろう。一年の皆のはちょっとだけ特別だけれど。
自分たち用のお土産の泡盛は昨日の今日だからしばらくお預けだな。
水着、また着る機会あれば良いけれど……。
……なんて昨日まで楽しんでた鮮やかな想い出の品々を取り出しながら片付けていって、冷蔵庫にあるものでぱっと思いつかないものだから簡単な鍋ラーメンを作って食べてる。常備菜の漬物やキムチ、ピクルスといったおかずにもつまみにもなる野菜を箸でつまみつつ、今日ばかりは寮母の世話になっても良いかもしれないって考えになる。
でもあれは事前に言わないと用意してもらえないんだっけか?3日ほど部屋を開けた結果の、からっぽな冷蔵庫の中身を考えながら夕飯を想像する。
『……どうあがいても駄目なアル中の晩酌メシか、乾麺なんだよね~…』
日持ちするっていうとそうなる。
……頼みは悟。パスタかご飯なら用意出来るけれど、おかずが全く無いんですよね。かといって夕飯にパンケーキはいただけない。悟は良いかもしれないけれどさー…というか、糖分量あの人大丈夫だろうか?私には長生きしてねっていうのに甘いのばっかりは良くないでしょ。
食べ終えたのでカラン、と箸を置き、あまり頼らなくなった常備薬を漁る。
ピルは昨日飲み忘れてしまってるから確実に飲むとして。サプリメント……サプリメント……うん、鉄分…は無いなぁ。貧血のような症状はあまり出ない方であるし。サプリっていったら二日酔いに効くからと買っていたビタミン剤はあるんだけれど。
今日は無理として今度出掛けた時に買おう、とちゃんと飲み忘れなくピルを服用し、食べ終えた食器を洗った。
『……さて、何しよ』