第17章 幸福に生まれ変われ
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そーっと静かに個室のドアを開けて、本当はあまり戻りたくない個室へ戻れば、悟と硝子のふたりは思っていたより穏やかに話し合っていた。私が寝かされていたベッドの周りに立って部屋を出る前のちょっとギスギスしてたあの空気はどこへ?
寝ぼけてた悟はきちんと覚醒済みなのか、悟はサングラスを掛けている。硝子、悟にかなりキレていたし悟も雰囲気が私を壊してでも自分のものにしたいって感じだったのに。私は呆然とドアを開いたままにその場で立ち尽くしていた。
個室のシーツを抜き取りながら、こちらを見る硝子。悟はずっとこっちを見ている。
「おかえり…どうした?何かあった」
何かがありまくりですよ、悟の件もそうだけれど。
知らないフリなんて出来ない。だってその恥ずかしいって思えるモノを今の私は身につけているから。
じわじわと朝から熱がこみ上がってくる感じがして。
『その、し、下……服の中とか硝子さんもしかしなくても、見ました…?』
見ていないというささやかな希望を持ちながらにもじもじと恥ずかしくなりながら聞いた。確認しなければ。
ふっ、と笑った硝子。
「ああ、うん。見たよ、がっつりと。衝撃的だったねー、ハルカはそこまでの趣味持っていたなんて…そりゃあコイツに合わせられるワケだな、と」
『いや、忘れてください、不可抗力なんですって!もしくはそれを忘れさせる為に後日飲みに行きましょう!
是非とも見た記憶を忘れさせたいデス…』
だんだんと、あっムリ恥ずかしい、となってきて片手で顔を隠す。
普段からそういうのなんて一切着ないのにどうしてこういう時に限って見られるんだ…っ!
はっはっは、と楽しげに硝子は笑っていた。
「万全の状態になったら是非とも飲みに誘って奢って頂戴。ハルカの財布を空にしてやるから。
……で、真剣な話だけど。さっき言ってた体調不良についてだけど、どんな不調が起こっていた?」