第17章 幸福に生まれ変われ
で、と恵がハルカを見て続ける。
「ハルカに何があったんです?術式が俺らが知ってる、今までのものと違いますよね?」
僕的にその質問にちょっと困りつつも。仲間であるこの子らに秘密にしたって良い事はないし。
春日として髪と血が呪われ続けている事、その血を使っている呪術や死んだ血族をハルカ自身に降ろす事が出来るようになったと説明して、触れるその一瞬で致命傷を与えるという大きな力を得た事により、以前よりも見えない形で死亡リスクが上がってしまった事を説明した。
この一族は皮肉な一族。トリッキーな呪術。禪院を呪いながら自分達春日を呪ってる。
それらを説明したら3人は頷いてきちんと理解をしたようだった。
それから。
……ハルカと一緒になったらいつかこういう話が来るとは思っていたけれど。
「五条先生達が旅行行ってる間に真希さん経由で聞いた話なんですけれど、禪院家では"反対"だそうですよ、その…五条家と春日家の婚姻についての話なんですけれど」
「だろうねー…どうせ禪院家内に引き取りたいとか言ってんでしょ?それこそアウトでしょうに。
禪院家許すまじな一族で、皮肉にも女系の相伝……男尊女卑の禪院家には歯ぎしりモンだよ。
禪院家内でハルカをくっつけるか、飼い殺しするか……どっちにしてもハルカには地獄だよね~……まっ!僕は一回手に入れたお宝は手放さないんだけれど!」
男には春日の術式は受け継がれない(相手の術が男児に受け継がれる可能性もあるけれど)し、死んだ春日の一族達が虎視眈々と狙ってるし。
「その先祖がハルカに憑依するっていうの、真希さんとか目の前にして大丈夫なの?」
「今のハルカなら十分にコントロール出来るよ。そもそも末裔だから一族を十分に束ねる事が出来る立場だし十分に気が強いからねー、ふふん、僕の目の前で初代と死んだばかりのお婆ちゃんをピシャリと言い負かしてたもーん!流石レディースの血を引いてるって感じ!」
そういった僕の発言にか、それとも騒がしくなってきたか。
眠るハルカがひとつチッ、と舌打ちをしたので皆が顔を合わせて会話はヒソヒソと行われた。