第17章 幸福に生まれ変われ
沖縄でたくさん写真を撮っては送りまくっていた、ハルカとの想い出。ハルカ単品も多かったけれど僕と一緒に自撮りしたり周りの人に頼んで撮ったり。
凄く楽しかったんだ。ハルカは友人のようでもあり、恋人でもあり、奥さんでもある。とても一緒に居て楽しい子。これまでに付き合った、遊んだ女の子とはやっぱり違った。確実に欲しいパーツを持ってる、僕らはふたりでひとつのパズルだった。
出会った時からずっと気になってた。どうしてか知らないけれど、きっと僕とこの子はウンメイの赤い糸ってやつに繋がれた存在なんだと思う。もっと昔に出会えていたならば、こんな危険な目に一切遭わせる事なく確実に幸せにしてたのに。
両手でハルカの手を握り、再び頬を撫でさせる。
「ハルカ、今は寝てるけどさ。起きていたら、もーっと可愛いんだけれど?」
「悟の相手してたんだ、今はゆっくり休ませてあげなよ。疲れてる所で身内の不幸に自身も死にかけたんだし」
僕の相手そんな疲れるか?とも思ったけれども、お婆ちゃんの件があった。それもそうか、と頷くと傑は静かに「じゃあね」と一言を残して個室を出ていった。
静かになった個室でずっと頬を撫でさせる。というか僕自身で頬擦りしてるというか。彼女には良く頭を撫でて貰ってた。早くハルカの意志でたくさん優しく撫でて欲しい。
しばらく続けていると近付いてくる3人の気配。悠仁達か、ハルカの見舞いかな?ハルカの手を降ろしてじっとドアを見る。控えめにドアを開けて3人が入ってくるのを振り返って迎えた。
「失礼しまっす!」
「やあ、皆かー!おつかれサマンサ!」
だいぶ落ち着いていて声量控えめなのは、硝子か少し前に戻っていった傑にでもハルカの容態を聞いたんだろ。起きたー?と悠仁が言ったので「治療を終えて今は寝てるよ」と返した。
椅子が無いな、と握ってたハルカの手を降ろし、僕の座ってた椅子をギギ、と小さく引きずって3人の方に向けると野薔薇が受け取って座る。ピザを持ってきていて箱を膝の上に乗せていた。少し離れた位置に重なる椅子を悠仁が見つけた、と言いつつ持ってきて恵と分け合って座り出す。
僕も立ったついでだし窓際に向かった。カーテンそろそろ閉めたいしね。