第3章 呪術を使いこなす事
「……ほう、それが"馴れ初め"…」
『違う違う、そんなんじゃないって!そ、それで…』
「それで?」
「今日に至る、というワケで?」
呪術について聞きたいのに話さないと進めそうもない、ゲンドウ会議。
肩を落として、次に進む。
『生き残りが私と祖母、ちゃっかりと私の知らぬ間に許婚があてがわれてたんだけれど、丁度いいからとさとっ……例のあの人が祖母の前で勝手に恋人宣言して。許婚から襲われかけるも……えっと、なんやかんやあって』
「なんやかんや、とは?その部分が一番聞きたい所なんですけれど」
『なんやかんやは……なんやかんやです!』
「気になる!」
10代の子らにそのなんやかんやの部分を伝えられない。浴室で許婚に襲われかけた所を助けてくれたり、朝に添い寝していたり。
深堀りされそうな雰囲気、私はそのなんやかんやの先に強制的に話を進めた。
『それで、実家にいる間だけ恋人にしよう…から、しばらく恋人にしとこうって。私はあの人が近くにいれば春日を狙う人が逃げてくし、あの人からしてみれば私が近くに居ればハニートラップ防止になるし、Win-Winの関係でしょって……』
"ハニートラップあんのあの人?"という伏黒の呟きにねー、と返事をした。疑うよねぇ、私も疑ってる。
「表面上…と?」
『きっと遊びなんでしょう、実際私、かなりからかわれてるし。あの人の一言一句に喜ぶべきではないと理解してますしー』
「まああの人の教え子として、そこはフォロー出来ないんですけど遊びであればマジで男として最低ですね」
"それで、"と言いながら悠仁がポーズを崩し、頬杖を着いて私の顔を覗き込んだ。ゲンドウ4人パーティ会議に飽きが来たのかも知れない。
「なんでハルカさん、五条先生の名前を呼ぶの、めっちゃ躊躇うの?……うわっ、すっげー嫌そうな顔してる、聞いちゃいけないやつぅ?駄目だった?」
眉間にシワでも寄せてたんだろうか。悠仁が怯えている。
私はそれを答える前にまず、視線を各所に向ける。すくっ、と立ち上がり速歩きでクローゼットを開けにいった。中は服とちょっとエッチな雑誌、人は隠れていない。
部屋の主、悠仁が私の行動を止めようと慌てて私を追ってきた。