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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


「まあ待てって。とりあえず囚われていた時のハルカみたいに負傷してるから婆さんは後回し、ちょっと助けるのに苦労する。
先にマリアを連れてくるから龍太郎はこのままマリアが来るまで待機。連れて戻って来たらすぐに逃げな。

で、ハルカ。死なない程度にボスを痛めつける事は出来そうかな?」

死なない程度に、とやや強調してて私の考えを悟は知っているみたいで。私の思考に更に追い打ちを掛けるように出来るよね?と強調して続ける。
出来ないわけじゃない、首を落とさなきゃ良いって事だし。でも、本当は…本当は……っ!
拳をぎゅっと握りしめ、諦めた様に私は頷いた。

『分かった、私やってみ─…』
「この春日の出涸らしの為の救出だなんてわざわざ無駄な事をしに来ていたのですか?”ラブ”。私の元に帰って来る為に来たのかと思いましたが?」

そのボスの言葉は良く通る声だった。
夏油や七海、夏油の使役する呪霊達や時折悟が戦う中で、背後から更に合流にきた高専側の複数の足音が聴こえる中での言葉。
言ってることとやってることと違う、表情だ。にっこりと人の良さそうな笑顔を見せ、すぐに悲しそうな表情へと変えるボス。手に握った刀の柄でしゃがみ込む祖母の頭をこんこん、と小突いてる。

「この春日の老婆はもう、身代わりとしての役割を終えた年代となっておりました。血族を増やす機能も既に無く。怪我をろくに吸えずただ家に呪いの寄らない術式を展開するだけ。格落ちの粗悪品なりに囮くらいにはなるだろうとあなたを待っていたワケですが……当たり。こうしてラブはここへ帰って来た。この出涸らしはもう、役を終えたので要らないようですね?ラブはふたりも要らないですし」

その意味は解放されるって甘い言葉ではないと私は知っている。
残虐性を内側に秘めているリベルタのボス。
悟が呟くように、「まだ前には出るな」と私に声を掛けた。そんな事を言われても嫌な予感しかしない。無傷での祖母の解放は既に叶わない事で、負傷している今、必要ないからってそのままワイヤーを解かれる事もない。
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