第16章 覚醒のトリガー
野薔薇が藁人形を握りしめている。そして虎杖が膝を着いたスーツの男…リベルタの人間を拘束してた。この場にはひとり、部屋のガラスが割れた形跡は無いことから近くの部屋にも誰か対応していそうな……。伏黒とか、先輩達とかかな。
真希とかパンダ辺りならガラスを割ってでも相手をぶっ飛ばしてるかもしれない。割れる事のなかったこの部屋の窓ガラスから野薔薇へと視線を移した。
野薔薇が金槌を少し手持ち無沙汰に軽く上下させて居る。
「私達もちょっと前に来たばかりだし…、もうひとり居たのを伏黒が追っていってるわよ!」
「2年の先輩達は呼び出しても別件、すぐに来れない課外活動中で居ねえし地下の方は多分ナナミンとか夏油さんが行ってると思う!」
簡潔に、ふたりの情報を聞き頷く。
悟は私の肩をガシッ、と掴んだ。
「そっか、ありがと!じゃあ僕らも先行こうか!そいつはこの後すぐに京都の子らが来るから任せっちゃいな!」
……任せるんかい!と驚き見上げる中でハルカ!と野薔薇に呼ばれて振り向く。半歩、悟によって進められたけれど悟も足を止めてくれた。
野薔薇はとても心配そうな表情で言う。
「あんた、ここに来て大丈夫だったの!?ぶっちゃけ飛んで火に入る夏の虫状態じゃない!?」
『そりゃあ身内が攫われたから取り返すのもあるけど。野薔薇、あんたはさ、閉じ込められて電気流されて痛めつけられて……って、酷い目に遭ったらどうする?』
きっと彼女もそうするだろう。
やけに落ち着いた覚悟の決まった目付き。
「……やり返す」
『それ。やり返してくる』
「ここは彼らに任せて行きましょう!五条さん!」
龍太郎が急かす。
悟は龍太郎の声も聞きながらに私と野薔薇の会話を聞いて、「女って怖いねー」と笑ってる。文句あっか!キッと悟のニヤける口元を見上げた。
「ハルカー!しっかりやり返してきなさいねっ!」
『もちろん!バレンタインの3倍返しの非じゃないくらいに痛めつけてくる!軽いジャブからみぞおちパンチのラストは金的でシメる!』
「ちゃんと潰しておきなさいね!」
「マジで女って怖いねー…、恨み買わないように早めに助けに行こっか!」