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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第16章 覚醒のトリガー


141.

「中は呪術師、外は非術師。どっちも騒がしいね」

アジトだった場所の歩道前……、ビルの前に停まる事が出来ず。少し手前で停まったタクシー。料金を支払い、ビル前にプラカードを持った人やら杖を突いた人など数名がうろうろしてる。高専関係者ふたりが、その人達が入らない様に見張っている。
悟がこっそりと私に耳打ちをした。

「呪術でサクッと治せるヤツって術師どころか非術師にも貴重だからね。ハルカは特に。顔バレしなくて本当に良かったね~!
……ひとりで行動する事が危険だって今ならよく分かるだろ?」

『……うん』

踏み入れる前から建物内から感じる気配。リベルタの本部は黄色のテープやコンパネで封じ込められ、明らかに現在の運営はされていないという佇まいになっている。世間的にもニュースになっていた、詐欺でもなく成功の道を辿っていてまだまだ各地・世界から不運の事故や事件、病を負った人達が治療を待っていたというのに。

その建物の外側にはプラカードを掲げ必死にメディアに訴えてる人も10人ほど居た。救出されてすぐの頃は100人とはいかないだろうけれど、少なく見積もっても40人以上は騒いでる人が居たと思う。逃げ出せずにいたらあの人らも治してたのかな。
ニュース映像をぼんやりと眺めていたら悟にチャンネルを変えられてしまったのだけれど。
"……可哀想だからってそういう人達を勝手に治しに行っちゃ駄目だからね、絶対に"……真剣な顔でそう言われて。

私達はリベルタが潰れた理由を知っているけれど(というか潰したのだけれど)、非術師の世界から見たら急にリベルタカンパニーが倒産した、という状況。最近倒産したばかりでありながら黄色のテープがたるみ、一部は人の手により千切れている。警備にふたり居る。それは不自然だった。だからこそ、治療を続けろ、助けて下さいという様なプラカードを持った人は希望を捨てずに留まって、高専関係者2名と挨拶する私達へと視線を向けている。

「五条さん、お疲れッス!」
「ん、お疲れサマンサ。お祭り騒ぎしてるけれど東京組が先に衝突してる感じ?」

非術師をちらちら見ながら新田が悟や私達を見て頷く。

「そうですね、地上裏口までしっかり見張ってるんで現在、絶賛お祭り状態……って、えっと…良いんスか?ハルカさん連れてきちゃって…」
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