第3章 呪術を使いこなす事
『私自身は呪ったり恨んだりしてないんだけれどね…、あとそこのグラサン凄く私の事馬鹿にしてるでしょ、』
「じゃあハルカ、呪力・呪術それぞれの違いについて説明出来る?」
どん、とバーガー店舗のベンチの道化のようにベンチいっぱいを占領する、ガラの悪い教師。それを見て釘崎や悠仁、ちょっと離れている伏黒に近付く。
『そういうのって君等分かる?』
「うん、分かる分かる」
『あっ、じゃあもし時間あったらそこのチンピラは置いといてちょっと場所変えて色々教えて下さい』
釘崎はチンピラ化してる教師を鼻でフン、と笑って親指で背後をくいくいと指す。
あっちに行こう、という合図だった。
「じゃあ、悠仁の部屋でも行きます?私の部屋ちょっと散らかってるんで」
「俺の部屋服ほん投げてあるけど」
「馬鹿ふたりとも、先生に聴こえないように言えよ、着いてこようとしてるだろ」
3人でもちゃもちゃと揉めている中、片手で顔を…いや、サングラスの両端を抑える男。
鞄、書類がしこたま入ってるのは分かるんだけれど、私の荷物も入ってるのだ。着替えの服とか。見られたくないから回収しないとなー…っと少し離れた位置からそろそろと手を延ばした時だった。
パシッ、
その手を、手首を素早く掴まれ、背筋を延ばして驚いてしまった。
その反応に、ケタケタとはしゃぐ悟。手は離さない。
「生徒に聞くのも確かに良い事だよねーでもこれからは容易に男の子の部屋に行っちゃ駄目よ?浮気でしょ?
僕はちょっと用事済ませてくるから生徒達とお話でもして待ってて」
『……はぁ、』
手が離されて立ち上がって。ベンチに荷物は置いたまま、悟はズボンのポケットに手を突っ込んで去っていく。
数歩追いかけ、通路のど真ん中…遠ざかっていく姿を確認した。ふう、一時の安心感よ。振り返って悟の生徒達に向かうと3人は目を丸くして見ていた。