第15章 縛りの為の呪物
「はーい!レア画像げっつー!」
『あの馬鹿兄貴一度調教しないと駄目みたいだね……!?』
何を送ったのやら、という所で悟は私をくるりと回転させ、ホテル側から海へと方向転換をさせられた。
ほくほくとした笑みの先には何があるのやら。気になる所ではあるけれど、悟は私の腰に手を当ててそのままビーチへと進みだしていく。軽い力で押されながら私も一緒に進むけれどさ。
「あ、歩きながらにこれ膨らませといてー」
どこに隠してたの?背にドラえもんのポケットでも隠してんの?という感じに背後からくしゃくしゃになった、膨らませるボールを渡される。これって頭くらくらするんだよね、酸欠になりがちなやつ。
色々便利な移動手段、高品質なホテル…ってきて、これはポンプは使わんのかい!と文句も言いたくなる中でひとつ、チッ、と舌打ちをしつつ素直に膨らませ始める。その間も悟は背に手を回して軽く私を押し、ゆっくりと歩を進めてた。
「…あー、キミが悠仁達くらいの高校デビュー時ってなんだか初々しくてひよこちゃんみたいだねー、顔に完全処女ですって書いてるようなモンだよ」
『あの野郎っ!』
「手、というか膨らませるの止まってるよー?ビーチバレーするからどんどん膨らませてねー」
自分でやれや!と言いたい文句のエネルギーを吹き込む力へと変えて。
ぷー、ぷー、と空気の満ちていくボールにちょっと苦戦してるとちょっと貸してと取り上げられる。続きは悟がやってくれるみたいだ。
「ちょっと膨らませてる間、僕の携帯持ってて」
途切れ途切れに空気を吹き込む悟。携帯が邪魔らしく私に本体を差し出したので、にっ!と笑った。
『んー?イイヨー?お安い御用で御座います(見たろ…)…チッ』
「ぷっぷくぷ~!さっきロック掛けました~残念っ!ムププッ!」
小馬鹿にする言葉を発した口はすぐにビーチボールへと密着してプー、プーと空気を送り続けてるけれど。完全に馬鹿にする態度で茶化して目元が、ねえ?今どんな気持ち?と言ってる。
……ほお?
『これはこれは人の神経を逆撫でするのがとてもお上手な28歳児ですねぇ~?』
「フリーザーかよ」