第15章 縛りの為の呪物
カシャ、カシャシャシャシャ…と連射音を聞き、手で制止するにもひょい、と避けられる。
あっ、めっちゃタップしてるからメッセージ入れて送ってんな、こいつは!親指、めちゃたぷたぷしてるし!
あの鬼LINEメッセージの異様な早さはこの親指捌きからきてんだな、と理解するのとなんて送っているかが心配になる。
余計な事書いてないだろうな…?私の手から逃げながら楽しげに携帯画面を見てる悟。
「んー?幼少期とか学生時代のレアなハルカの写真とか。一昨日以前のデートではしゃいでるハルカの写真送ったら文化祭の時のメイド服のハルカを送ってくれたよー」
『おい馬鹿やめろ、あの兄貴何送っちゃってんのさっ!?』
「衣装まだあるならそれ着て僕をご奉仕して欲しいなー?ナンチャッテ!」
『……冥土に送ってやろうか?ああん?』
かあっ…と一気に体温が上がった気がして悟から携帯を取り上げようにもほい、ほーいと猫をじゃらす様に巧みに避けられていく。画面ばかり見て、たまに私を見るくらいなのになんでこうも避けるのか。
そのうちに悟の携帯に何件もの通知音が鳴り響いている。野郎!やりやがったなっ!
「おーっほっほほ!タイガお兄様からスイーツが届きましてよ!」
『どうせ添付ファイルだろっ!スクロールすんな、すーるーなーっ!』
かなり嬉しそうな顔で笑って(というかドヤって)私の手を避ける悟は、つま先立ちの私を片手で引き寄せてそのままに唇を塞ぐ。
『ん、むむっ……ん~っ!』
ムードもクソもあるか、これ!なキスの中でサングラスの奥の青が横を向いてる。私の背後でぎりぎり見える位置なんだろう、携帯を確認してるな…この人。
本当に口を塞ぐ為って理由のキスから開放され、携帯を掲げる悟を見れば嬉しそうに笑っていた。