第15章 縛りの為の呪物
「ん、もっと食べたら?」
『冷たいのと温かいのでお腹壊さない?てか、悟もやってるか……』
「まあね、僕最強だからそんな事でお腹壊さないよ」
……ここはノーコメントにしとこ。
テーブルの上を見れば、ソフトクリームを食べてる悟の前にはラテアートが描かれていたコーヒーが見える。
さっき砂糖入れてたけれど……とカップの中を覗き込めば見事に消えたラテアート。こいつ……砂糖ぶちこみーの、かき混ぜーの消し去りーのしてる…。
『ラテアートとは??』
首を傾げて、ラテアートの柄をちょっと悩んでいたのにこうもあっさり消し去ってしまった男の意見が聞きたくもなってきた。あの悩んだ時間の意味を知りたいわ。
やけに自信有りげな表情の悟。
「ふっふっふ……僕の無下限呪術の前にラテアートという存在がし続けられると思ったら大間違いだよ…?」
『ただの甘党だろうに、そんなカッコつけてー』
ティースプーンで二口目の攻撃をして冷たいパイナップル味のソフトクリームを運ぶ。
……お昼どうしようかなぁ、結構この水族館楽しんだけど全部ここで済ますのも……。楽しい、そして癒やされるって時を忘れすぎてしまうのも厄介だ。バタフライピーのお茶を口に運びながらのんびりと寛ぐ悟を見た。
視線が合って、唇をぺろりと舐めた悟。
「休憩終わったらホテルに戻る途中でさ。適当にぶらついて皆からのお土産買ったりして用事済ませたら海行こうね」
『ん、特に野薔薇のは指定有りだからね。ちゃんとあれば良いんだけれど……』
携帯に誰が誰ってメモを入れてたし、他にも買ってく人もいるし。
ソフトクリームを食べ終えた悟は頬杖をついて私をじっと覗き込んだ。
「こないだ買ったハルカの水着、早く見たいな~!」
『もっ、もちろん着るよ?まー悟にしか見せないしね』
水着選びでしきりにマイクロビキニを勧められたけれど、それは断って自分で選んだものを少し奮発して買ってしまった。
その上に羽織るものとしてシースルーな巻きつけるパレオ。小さな蝶の銀色の刺繍がきらきらしててきっとあのビーチでは風と照りつく日差しでその刺繍の蝶が羽ばたくようにひらひらと舞うんだろうな、と思い浮かべる。