第15章 縛りの為の呪物
『……あの、どんどん追撃しないで貰えます?』
「やだ。奥さん構いたいもん、邪魔されずに新婚のうちにめちゃめちゃ構い倒したいし。照れるオマエがまた良いんだなー、これが!ナイス、リアクション!」
慣れない内に構い倒すつもりか、この人!そういう性格だからね?キッ!と睨めばにこにこと楽しげな悟。そんなの見たら睨む表情もそりゃあ緩くなるわ。さっきの悟みたいに少し頬が膨らみそうになりかけ、楽しんでる悟の片手が伸びてきた所で膨らむのを止めた。ちょっと残念そうな表情の悟。伸ばしかけの手を下ろして。
「えー?ちゃんと膨らんで?ぷにぷに仕返しをしたかったんだけど?」
『残念でした、フグりませーん』
「ちょっと残念だけどこの悔しさは夜に発散しよーっと!」
それは止めて欲しいんだけど……。首を横に振って繋いだ手の腕にしがみつくと悟は私の肩を抱き、更に先の順路……、進行方向へと体を向ける。
「ほら、もっと先にはイルカとかマナティーとか居るんだよ?ここだけで終わらせないでしょ?ハルカもイルカとかマナティー、見るでしょー?」
『見るーっ!』
魚だけじゃない、そういった大きな生き物はまだ見ていなくても笑顔にさせる。いや、もう…めっちゃ見たいんだわ。
よし、行くぞ!と気合いの入った悟の声で止めていた足を動かし、館内をゆっくりと回っていった。
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水槽に囲まれたカフェで少しのんびりとしながら、真っ青な紅茶を飲む。癒やしでもあり、興奮した水族館内だった……いや、ここもカフェなのに水族館って感じだけれどさ。
私のカップの中をじーっと覗き込んだ悟は顔を上げて嬉しそうに笑った。
「キミの真っ青だね。そんなに僕が好き?」
『悟の目の色だからって選んでるんじゃねえよー?』
「青=五条悟でしょ?これ常識な?覚えといてねーテストに出ます!」
『そんな常識無くたって良いしなんてイカレたテストなんだ……』
へへっ!とキメ顔の悟から私は、ティースプーンを持って悟の手に持たれたソフトクリームをひと掬いかっさらっていく。
口に運ぶと南国、甘酸っぱい。めちゃめちゃパイナップルが主張してる味。