第15章 縛りの為の呪物
「4回目のデートの時も水族館デート希望してたよね、ハルカ。海が好きなんだねー…」
ちら、と悟を見るとその水槽での様々な青の一色に良く似た青をサングラスから見せて、こうして言葉を交わした彼も私から水槽へと視線を向ける。追うように私も水槽を見上げた。
くるんと方向転換したウミガメを目で追いながらに以前のデートで見た水族館とのスケールの違いを感じる。やはりこっちは本格的だった。でも、あの時はデートの雰囲気があってどきどきしてたなぁ。良い想い出のひとつで今と同じく繋いだ手は変わらない。
『……うん、好き』
様々な種類の共存。とても大きな魚が居るのに小さな魚達ものんびりと泳いでいて水中のただの生活の様子でありながらずっと見ていられるような癒やし。
……確かに、寝袋持って水槽を眺めながら見るってイベント。合ってるよなぁ、だなんて考えて。
「好きって、悟君よりも?」
『……………ううん』
「そこは即答して欲しいなー?」
ちょっと目の前の情報量の多い水槽に感激して遅れただけだし。隣の悟を見るとわざとらしく頬をぷっくりと膨らませていてまるで刺激を与えられたふぐのよう。
手を伸ばして頬を突くと少しずつ空気は抜けていく。いつもよりも子供みたいに分かりやすくスネてる。
空気が抜け終わってすぐに悟はちょっと困ったように笑った。
「もー、旦那さんを好きすぎて構いたい気持ちは分かるからせっかくの水族館、ちゃんと見ていきなさいねー?ほんとはお魚に視線もあげたくないけど今日は特別に許してるんだから。
ハルカは僕の奥さんなんだし、大好きな悟君はこれからも毎日見るでしょ?ここは滅多に来れないんだからしっかり目に焼き付けなさい」
……なんでこういう所でそういう事をさらっと言うのかなー!
冷房が効いてる館内だけれど、じわじわと自身で熱を感じる。