第15章 縛りの為の呪物
「呪術師だからしょうがないんだよねー…僕達はさ」
そのまま私はさらさらと悟の頬を数度撫でて、そのままいつもみたいに頭を撫でる。子供をあやすように、良い子、良い子と撫でていけば気持ちよさげに目を細めている。
私と同じことを繰り返すように彼はくすりと笑って、私の頬を数度撫で、そのまま私の乾かしてない髪を撫でた。優しい手付きが気持ち良い。
『でも悟。いつ死ぬか分からない、だからこそ後悔しないようにって言ってたよね?言わないって事でさ、それはそれで後悔しない?』
撫でる手が止まり引っ込められる。
卑下するようにははっ!と短い笑みをする悟。
「後悔はするさ、大事な奥さんにさー、幸せにするって言えないなんて。この職業だからさー……幸せにする100%の保証が出来ないんだぜ?」
ぬちっ、ぬちっ、とやや水気のある音と前後に揺れ動いてる視界。休憩は終わりらしく、第二回戦の為に悟は小休止してる自身の勃起を促していた。
『それくらいの呪いの言葉くらい、吐いても良いでしょうに。とっくに呪い呪われて、お互いにその呪具を着けてるなら尚更』
……保証が出来なくても。
私は悟になら言われたい、と思う。ただその言葉だけで既に幸せにされているのだし。
悟にねだるように視線で訴えれば可笑しそうに笑ってちょっぴり照れくささを交えた、いつもの悟に戻った。
「……そうね。じゃあオマエの事だし呪いの言葉として言ってもいっか!これからもずっとハルカを絶対に幸せにしてやるって!」
『ふふっ、ありがと。じゃあ私は悟を幸せにし返しちゃおうかな?』
にかっ!と元気に笑った悟に同じく笑い返す。とても幸せで夢みたいで少し声を出して笑ってぎゅっと抱きついた。
隣で横になっていた悟は、のしかかるように、覆いかぶさるように体重を掛けて抱きつき返すのが重くて。
ぐえっ、と変な声が出ちゃって、ツボに入ってマネをする悟を少し怒って。