第15章 縛りの為の呪物
131.激裏
僅かにキシ、とだけ鳴いたベッドのスプリング。私をゆっくりと下ろした悟。腰や背に感じる感覚はとても柔らかい。
そのままに覆いかぶさる悟は呼吸を荒げていた。
「もう……ハルカがそうも煽るから…っ!せっかく作った余裕、無くなったんだけど?」
『さと、る…っ!』
荒くて熱い吐息が首筋に掛かって、少し濡れた互いの体、すりすりと悟は頬擦りをして何度も素肌に優しくちゅ、と口付けている。
私は悟の凶暴性を一部知ってる……見ているから、もっと乱暴に酷く抱けるのだろうけれど、優しくて一生懸命に傷付けないようにしているその心遣いが嬉しい。
「っはぁ、好き、好きだよ、ハルカ……今日、ちょっと僕止まれないかも…っ」
熱い吐息と優しいキスをたくさん掛けられて。
キスマークを着けている刺激じゃないのにぞくぞくして燃えるように感じて、もっと愛して欲しくて、また私からも愛したくて密着するその背に腕を回して撫でた。しっかりと筋肉の着いた背が逞しくて頼りがいがあって、この人だから良いんだって安心が出来る。
『悟、欲しい…っ中、挿れてっ…!』
「だからっ、もう…っ!余裕ある、格好良い僕のままで抱かせてよ……」
ちょっと笑いながら小さくキレる彼だけれど、私の体に当たっている硬くなったペニスが悟の本音を表現するように何度も擦り付けられている。
浴室と同じく良い香りで満たされた、たったふたりしかいないのに広すぎる室内。互いの荒い呼吸でさえも響かせる事を許してくれなくて、ベッドも滅多に軋む事がなく。視界には天井と、ちょっと興奮しながらも困った顔をしてる悟。
『格好良さなんて今は必要ないでしょ…っ』
「まあ、そうなんだけどね……僕ってばキミの旦那さんだからねー…、プロポーズした今日くらいは格好良く落ち着いてしっぽりとしたかったんだけれど、」
かぷ、と甘噛みするように唇を噛んで少しずつ角度を変えるキス。
離れた後に微笑む彼にはもう僅かに残っていた余裕なんて消し飛んでいた。