第15章 縛りの為の呪物
色っぽい視線を送って来ていて、ドキッとした。
ベッドに行く前に浴室で始めるという空気。
「だからね、ハルカ。お風呂場でえっちしようよ。
オマエのひとつひとつの動作がさ、ベッドまで保たせてくれないの……それとも、僕の事ずーっと煽ってんの?」
煽ってるつもりなんて毛頭ないっていうのに…という視線を悪戯小僧のような表情の悟の顔に向けた、そして急にまさぐる下半身への愛撫に視線は自分の下半身へ。
ジャグジー効果でどうなってるかは見えずとも指先が前後を擦るように動かされている。急な刺激に脚や腰がびくっ!と跳ねた。
慌ててその手を剥がそうと両手でその手を押さえる。
『やっ…!いっ、いくらなんでも急過ぎるでしょっ!?』
「ん?ああ、がっついちゃったって事?しょうがないじゃん、夜になれば優しい優しい悟君も狼になるんだから」
不思議そうな顔でなんで?と無邪気に言いかねない悟は私の背に腕を回すとふっ、と笑って口付ける。
『っふっ、んんっ……っ!』
口を塞げば文句が言えない。引き寄せていないもう片手が試合続行と言わんばかりに私の下半身の敏感な部分を執拗に攻めていた。
口内は悟の舌が裏板をくすぐるように攻め、止めさせようと舌で追い返そうとすれば私の舌に絡みつくように攻め返す。何度悟とキスをしたって、彼に勝てる気がしない、今日はいつもよりも激しくてキスだけで頭がおかしくなってしまいそうで。
頭がぼんやりし始めそうになる中で今度は見えない下半身では、すりすり…、と強すぎない丁度良い力加減。上下に…時にこねくり回すように丁寧な刺激を送り続ける指先。
ようやく舌と唇から開放されれば、少し粘ついた唾液がつう…、と距離を離しても繋がれたままで。
「…っはあ、」
悟はフッ、と不敵に笑いながら口元を片手で拭い、その流れで私の口元を指先で拭う。
下半身を攻める手が引っ込められたら、今度は矛盾にももっとして欲しいって思っちゃって。
呼吸を乱したままに悟を見上げた。視線が合えば細められた瞳と緩やかな笑みを浮かべる口元……余裕がありそうな悟。