第15章 縛りの為の呪物
130.激裏
部屋の風呂にしてはやけに浴室だけで広くて、ビーチに置いてあるようなベッドや蔓で編まれたテーブルや椅子、いかにも南国的な観葉植物が飾られている。もはや個室版リゾートスパ……、本当に浴室…デスカ?浴室だけで普通のホテルくらいの広さがあるし、丸いジャグジーバスはピンクやら紫やら青やらとゆっくりと湯船の中でライトが切り替わってお湯を照らしてるんですけれど?
『……アメニティーの質が異常にやばすぎる…』
シャワーでトリートメントを流し終えて、その統一感のある眼の前をガン見する。
フルセットで置かれていて、部屋にあるファイルによれば別のブランドもあるから気に入らない場合はフルチェンジを致します、とな。ごちゃっとあるんじゃなくて一種を重点的においている統一感。置き場所の見た目がすっきりとしていた。
髪が短いって理由もあって先に湯船の方に行って、縁に腰掛けてる悟の元へと歩み寄る。ずっと入って居れば熱いだろうから待ってたみたいで、私が来たらにこ、と笑ってジャグジーバスの中に浸かった悟。
「浴室に気合い入ってるって言ってもラブホ感はしないでしょ?」
『しないけどさー…うん。ラブホ感はしないんだけれどすることはするでしょー、悟。睡眠不足にするとか宣言しちゃってんもん…』
週末だしテンションが上がってたってのもあって、せめて今夜はぐっすり眠りたかったというのが本音だけれど。
湯船に片足を入れ、そのまま悟の隣に寄って浸かる。同じ様に湯船の淵に手を掛けるとふたりとも薬指にお揃いのリングがハマっていた。
「んー?…フフッ…するよ?どちゃくそにハルカを抱くよ?
当たり前でしょ、一週間はザーメン&フラストレーションを溜め込んでたしたけど僕。出さないといろいろと破裂しちゃうからねー?」
『そんなもん溜めんじゃないよ……』
リラックス効果なのかふんわりと室内がアロマの香りが漂っている。部屋も浴室も……特にジャグジーで空気を送ってるから鼻に届く。だのにリラックスどころかどきどきとしていた。
結構急いでここまで来たからちょっと疲れた、はしゃいだのとか緊張したのとかもあるかも。浸かるには熱すぎない適温で体から疲れが少し抜ける。
隣でふふっ、と悟が笑った。
「ねえ、ハルカ。ベッドでの本戦前に軽い運動しよっか?」
『えっ…?』