第15章 縛りの為の呪物
「ん、全部ね全部。ハルカが死ぬまで僕のモンだから。勝手に死なせないよ。僕の物って縛りをハルカに着けさせましたので後でじっくり確認してね。
……着けた瞬間からプラチナリングも呪物だね…ほんと。僕らを縛る呪物」
『言い方…』
きつく抱きしめ合って見えないな。星や月、夜景の明かりじゃ確認もしづらいし。
『ねえ、悟。せっかく嵌めて貰った指輪を良く見たいんだけどここじゃ良く見えないんですよ。携帯部屋に置きっぱにしちゃったし悟は今持ってる?』
ぎゅっと抱きしめられたままに見上げて悟に聞いた。持ってたら照らして貰おう、待ちきれないくらいに確認したくって。
顔を上げた悟は私をじっと見て呆れたみたいに少し笑ってみせる。
「ハルカの事だからその辺に落とすのがオチだからホテルに帰ってから見な!トラブルメーカーなんだから、プロポーズして数分で結婚指輪紛失ってオチになるのが見えてるもん!」
『なっ…!超失礼!もうちょっとオブラートに包んで注意してくんない?』
緩く抱きしめ合う体。夜でも薄明かりな浜辺で悟は少し頬を染めて笑ってる。
「もう互いを探り合う恋人じゃないし。認めあった夫婦なんだから僕はズバーッて言っちゃうよ?
……ねえ、僕だけのハルカ?オマエの体も命も全部僕の物なんだから大事にして欲しいな。もちろん、さっき嵌めた指輪もね?」
『あ……、』
優しい眼差しで微笑んで。そんな風に言われちゃ胸がドキドキと高鳴って顔もまともに見れなくなる。
背いた瞬間に視界の外でククッ、と笑い声が聴こえた。
「……その可愛らしい反応もね?全てが僕のものなんだから」
傾く悟の体。互いの唇が触れ合えばザザーン…と少し大きめの波が一度祝福するように音を立てて、浜辺に押しては引いていった。