第15章 縛りの為の呪物
爽やかさも感じさせるくらいな無邪気な笑みを浮かべた悟は、この時点で…いや何日も前からフラストレーションを溜め込んでいたらしく今日や明日に溜め込んだそれを撒くつもりらしい。ポケモンのがまんでも掲載しとんのか…?
ふと思い出すのは数日前の高専での事。
そういえば送る荷物をキャリーケースに詰め込む時に私がコンドームを入れようとしたら阻止された。つまりは……そういう事だ。
夜の話についてこそこそと硝子に相談した事はあったけれど、生理明けだからってそういう事続けたらマジでやばいよと当然の話をされ、それ以降ピルは飲むようにしてるし、管理は出来ているし…一定期間前から用心してゴムは着けてもしもの事態を避けてはいるけれど……。
……行為自体は嫌って事じゃない。リベルタ以前に何度か、生理明けにした。今回は久しぶりなのと入籍したという事、そして今回の特別なデート。正直な話むしろしたいって思うよ?
悟とめちゃめちゃに濃い一晩を、二晩を過ごしたいしいっぱいしたいって思ってる。でも、そんなにがっつく女であると見られたくないって自分もいる。
悟が窓の外を眺めているのをじっと観察する。
サングラス越しに外の夜景が流れていく。その内側の青い瞳は外をぼうっと眺めていた。
多分だけれど、悟は何回も沖縄に来てるんだろうなとは思う。
いつもの悟だったらもっと子供みたいにはしゃぐもん、落ち着きすぎてるし。その余裕さが28歳児じゃなくちゃんとした大人になってるから、私からは余裕なんて吹っ飛んでしまっていた。
視線がこちらに向いて、口元が優しく笑う。
「ホテルに着いたらさ、軽く夜の散歩しようよ。夜の砂浜デートってのも良いじゃない?」
『うん!するっ!』
「即答だねー、うん。はしゃぎすぎないように僕とちゃんと手を繋ぐんだよ?」
『もちろんって……うわっ、いつもと関係が反転してる……』
それ普段僕が子供っぽいて言いたいのー?って笑ってる悟。その言葉は認めてるって事だからね…?
サプライズのようなデート、今日までずっと楽しみにしてきたんだから、とりあえずは一緒に楽しく過ごして色んな想い出を作って行きたいな。
リムジンの中、触れて握られた手。やっぱりふたりだけの為にこんなに広い車はもったいなくて。数分後に緩やかに停車した私達は手を繋いだままに車から降りた。
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