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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第15章 縛りの為の呪物


星や月明かり、そして人工的な明かりを反射して揺らめく海面。さざ波がきらきらとしていて夜は違った見方をさせてくれる海。
天気は良好、強風も吹かず海面はとても穏やかで夜の散歩には充分な景色を魅せてくれていた。
軽い荷物を置き、少し薄着な服でビーチを歩く。プライベートビーチって言ってた通り、人は少なく…というか私と悟のふたりきりだった。

「流石に貸し切りじゃ人も居ないか!人目を気にせずイチャイチャできちゃうねー」
『他のお客さんの時間とかないワケ?ホテルの前をさー、一組に貸すなんてさ』

いくつか部屋があったはずだけれど。
ん?と手を繋いで歩きながら見上げる私を見つめる悟は微笑んでいる。

「だからそれごと。最終日まで全部五条悟が貸し切りにさせて貰いました」
『そういう……所だぞ?』

ぼんぼんめ!と楽しげな表情の悟を見てると歯を見せてははっ!と彼は笑った。

「……ほら、さ?リベルタとかみたいなのも居るだろうし、僕らのパパラッチ目的の人防止にもなるし!たったふたりで過ごせる想い出作りも良いしなにより……、」
『……なにより?』

言葉の詰まった悟の沈黙に聞き返すと、彼は片手で口を抑えて立ち止まる。
視線は私から外して海の向こう、地平線の更に先。とっても遠く。

『なにより、の後は?気になって夜しか眠れない』
「……昼間だって寝られるでしょ。なんか僕に似てきてない?やっぱ夫婦だから?」
『そのくだり割と最近、前にもしなかった?』

ふふっ、と笑って止めた足を進めだす。生ぬるい風が足元をくすぐっていく。たったふたりしかいない世界みたいで歩きだしてからどれくらいの時間が経ってるのか分からない。5分くらいかもしれないし、30分くらいこうしてるのかもしれない。時間を感じないくらいに手を繋いでゆっくりと歩いていた。
涼しい風が吹くとはいえ、手汗が滲むし互いの体温が熱いと感じる、けれども触れていて熱いからと離れたいって気持ちには私はならなかった。

しゃく、しゃく、と小気味の良い砂浜は黙って居る時でさえも二人分の音を響かせ、海が絶えず静かな波の音を立てて存在を感じさせている。

「ハルカ、ちょっと止まって貰っても良い?」
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