第15章 縛りの為の呪物
「じゃあさ。僕の奥さんなんだからこれから慣れていってよね?」
『……その奥さんってのも、まだ…私、慣れないし…』
「ン゙ッ、そういう初々しい反応されると僕が困るんだけれど……ハルカの可愛い所を外で出さないで?」
何を照れあってんのやら。
ははっ、と小さく笑い合う。なんだか遊園地で見た初々しいカップルみたいな事になってる。
今からの旅行の期待と惚れた相手への想いに早鐘撃つ鼓動。この微妙に甘ったるい空気をなんとか誤魔化す為にか、悟が尻を揉んで来たのでこら!と小さく叱った。
「そろそろ離陸するねー」
『うん。昼間じゃないから青空を拝めないなー…』
窓に片手をついてじっと外を見た。夜景が遠くなっていく。私達を乗せた飛行機は空へ飛び立ち、沖縄へ向かってる。
窓際の席で遥か下の地上を見送って、なんだかわからないくらいに遠ざかった後は、より星の近い位置となった夜空を見上げてた。こんな位置から見る夜空が貴重で。
すると私の肩をつんつん、と服を引っ張る人。
「僕より空ばっか見てたら妬けちゃうな~…悟、ジェラシー!」
窓にうっすら映る悟がこちらを見ていたので振り返り、そのまま悟の方をじっと見つめた。ちょっと膨らんだ頬は子供っぽい。
さっきのジェラシーとか言ってた子供じみた顔は振り返ってすぐににこにこと嬉しそうに変化したけれど。
「空より僕のナイスガイフェイスを見てた方が飽きないっしょ?」
『飽きないっていうか、じっと見てたらキスしてくるというか』
そう言っているうちに傾く体。
「そうだね、したくなるもん。だからさ……するでしょ?」