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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


──母さん……。
母さんの母さんに酷いこと言ってしまいますがお許しください。墓前ではきっと事後報告になると思います。
多分、私は母さんが亡き後、父ちゃんと兄貴に良くない教育をされたのかも知れません。
すぅ、と息を吸って思いの丈を、捨て台詞として私は吐いた。ここは一軒家、いくら叫んでも近所迷惑にはならないし。

『龍太郎を使って…勝手に私を子作りマシーンにしようたって私にも選択権あるんだよ!私はそこのアイドル好きの許婚よりも母さんみたいに自分で好きな相手選ぶもんねっ!許婚なんてクソ喰らえ、こっちから願い下げだわ!見え透いた繁栄目的だとか時代遅れにも程があるわっ、バァーバ!』
「ハルカっ!!」
『悟、走るよ!』
「おうww」

真顔から鬼婆婆になる瞬間が見えた所で踵を返し、悟(返事に草を生やしている)に合図して一目散に門から走る。きっとこのやり取りはジブリ映画のカンタとおばあちゃんのようなやり取りかも知れないけれど、つかまればげんこつじゃ済まない未来がある。
言っちゃった。言ってやっちゃった…!すっきりして開放的で、笑いながら私は走った。

近くで私より少し斜め前で走る(余裕そうに)悟は同じく…というか、爆笑して走っている。
背後から、龍太郎追え!と命令する声が聴こえたけれど捕まるつもりはない。とりあえず、昨日はこの屋敷までの道路の多分半分近くくらいまでは余裕で走れた。捕まらないようにしなくちゃね。
……あっ、バスの時刻表は分からないや。でも捨て台詞言っちゃったし後戻りは出来んわ。

──バス、1時間後とかだったらどうしよう。
ふと真顔に戻った瞬間だった。

『悟、やばい。バスの時刻確認してないや』
「あっはっはっは!馬鹿にしても良いか?良いな、馬鹿は馬鹿にしても良いから馬鹿にしとこーっと!馬鹿め!」
『はいはい、考え無しの馬鹿ですみませんでしたねー、どうぞご自由にっ!』

笑いながら馬鹿にしてくる悟は無視しといて…ちら、と振り返る。
まるで効率重視のターミネーター走りをする龍太郎。

「お嬢様、逃げずに春日家に留まり下さい!流石に今回ばかりは目の前で逃がすわけにはいきません!私はあなた様に許婚を断られ、アイドル好きで申し訳ございませんけど宣言致しますね!
捕まえたら"致します!"」
『ヒェッ……』
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