第15章 縛りの為の呪物
近くに悟も居るし、一緒に聞いてる。
その悟をじっと見た伏黒は私に向かいながら悟を指差してる。
「お土産はハルカに頼んどく、五条先生に任せると置く場所に困る人形とか買われるからな、下手したら呪物かも知れねえし」
『オッケー伏黒、無難な食べ物にしとくわ!』
「恵~、僕の事さり気なくディスった?」
行きも帰りも荷物になるだろうからと、先に宿泊場所にある程度の荷物は送ってある。帰るその日にお土産と一緒にまた送るので移動は身軽でまた良い。
「じゃあ、皆も良きホリデーを!緊急で任務入ったら僕行けないけどごめんねー?」
「たまには任務の入らないデート楽しんで来なよ?私は地域限定の美容品はもちろんロイズの黒糖チョコレートね」
『超ピンポイント!待って、メモる……いや、LINEでお願い!』
ドアをガラ、と開けた悟が指先で外を指しジェスチャーで行くよ、と急かしてる。
『んでは行って来るねーっ!』
「「「いてらー」」」
それぞれに荷物を持ち寮に帰ろうとしてる3人に手をぶんぶんと振り、また2人に振り返されながら私は悟と共に教室を飛び出した。
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『ひっこうき、ひっこうき!』
「……いつもと立場逆だねー…通常の僕みたいにされると僕も調子こけないんだけれど」
少し濃いサングラスの上の眉が困ってる。悟は特級呪術師、私が学校で授業をしてるうちに新幹線なり飛行機なりで各地に出向く事が多い。たまに部屋に帰らない時もあるけれど高頻度で急いで終わらせて「帰ってきたよ」、と報告してくる。ただの寂しがりかとも思っていたけれど今になって考えてみれば私を残して、私が学校終わって買い物に行ったりしてリベルタみたいなやつらに攫われる事にならないように……の配慮もあるのかも。
まあ…その。飛行機に乗り慣れた悟と違いこっちはそんなに乗り慣れてないっていうか、家族と1回旅行したのと高校時代に行ったのと、社会人として社員旅行で乗ったくらいだから慣れてないんだ。ましてやそのどれもが計画して何時にどこどこ~って感じのプログラム制。悟と行く今回の旅行、たったふたりのデートでは海でのんびりして水族館行ったり沖縄の料理を食べたりしようねーくらいの緩さ。
好きは好きでも、家族や親友、同期ではなく、恋人という関係を突き抜けて籍を入れた相手じゃまた楽しみ加減も格別で。