第14章 鮮やかな日々よ
「で、僕がキミへと選んだの……それ、ブルー・ムーンってカクテルね」
『ほー?我が人生に触れたことのないカクテルだわ』
その名の通り青く見える月みたいで綺麗だけれど。
なんだか、悟の瞳みたいにとても綺麗な色をしてる。取っ手…ステムを指先で持ってじっと中の綺麗な液体を見る。
そんな興味津々の私に悟は楽しむ様な声色で説明をしてくれた。
「それ、"完全な愛"って意味が込められてるんだってさ!」
隣の悟がグラスを持った私のそのブルー・ムーンにコツン、と黄色がかった液体が満たすグラスを当てた。
そして私にウインクをばちん!として。
「僕らのこれからの未来にかんぱーい!……愛してるよ、ハルカ」
『え、』
私を素早く引き寄せ、触れるだけの口付けをして離れる悟。
ブッ!と吹き出しかけの音がすぐ隣やその先の隣から聞こえて、七海がゴホ、ゴホッ!とむせている。こいつやりやがった…!
じわじわと顔全体に熱が上がってくる感覚と隣の男の余裕そうな笑顔。
「……"ダブル五条"、そういうのはふたりきりの部屋でやれ。私達部外者を巻き込むな」
『硝子サン、追い打ち掛けないでくれませんか……』
熱っぽいままに悟が頼んでくれた綺麗な青を少し口に含む。ブルー・ムーン、甘酸っぱい青い月の味がする。
今日はいつもよりも酔いが早く回ってしまいそうなくらいにどきどきしながら、私はその日の最後に締めとしてもう一度自らブルー・ムーンを注文した。