第14章 鮮やかな日々よ
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手を振る強面のふたりに、私と悟は手を振り返す。私の血の繋がる家族であり、呪いとは関係の無い生き方をしているふたり。なんだかんだドーベルマンとポメラニアンが仲良くなったという結果も生まれた。
家族の縁が切れた訳じゃないけれど私は五条という家に入ってしまい、私はもう戸籍上ではみたらいではない。またみたらいに戻らなければ良いけれど…と思いつつも、振り返りながらニコニコしながら歩く隣の悟に耳打ちをされる。
「猛犬注意の張り紙ある家に訪問したら、そのドーベルマンも慣れて懐柔されちゃったみたいだねぇ?」
『ぷぷっ…!餌付けも効いたといいますか、まあ私にべったりなだけで優しい兄貴ではあるんだけれどね』
そのべったり兄貴が悟にバトンタッチしたというか。兄以上にベタベタしてるというか。懐柔されだドーベルマンよりもなつき過ぎて困るレベルのポメラニアンがこの人なんだけれど。
お寿司のお供にと味噌汁を作る間に、腕相撲が連戦されていた。圧勝し続ける悟、魂の抜けたような兄。事後報告は刺激が強すぎたか?とも思ったけれどじっくりと雑談を挟みながらお昼を食べてればちょっと心を開いたようで。
……私の親についてはこれで大丈夫だけれど。
ちゃんと前を向いてこれから買い物に一緒に行くのだけれど。横に並んで歩く中でちら、と悟を見上げた。
多分大丈夫だと思う、と悟は言っていたけど春日は元は禪院から来ている血。全ての人に受け入れられないかもしれない。五条家と禪院家は仲が悪いらしいし。それを知っていても尚喜ぶのは、単純に良い人か、もしくは禪院を呪う事で特化した一族として見られているか。
お家問題ってのは面倒くさいものなんだなー、とまだ体感はしていないけれどこれから先に振り回されそうな気もしてきた。
彼の視線が微笑みと共に降ってくる。
「御三家である五条家の問題が残ってるけどさー、結婚式で白無垢のオマエを見るの、楽しみだなー!」
その問題について丁度考えていたからびっくりした。
ぱちくりしながら悟を見上げる。悟はきっと脳裏に色んなプランを考えているようで嬉しそうではあるけれど。