第14章 鮮やかな日々よ
ううん!と咳払いをして、父を見た後に悟の背をとんとんと叩いた。
……兄はシスコン発狂モード突入してるからちょっと放っておこう。声をなるべく耳にしないようにして…さて、悟。続きをどうぞ。
父も兄を放置しながらに目の前の並ぶ私達を見てほっこりとしていた。かつてはセコムだったけれど悟は何故か認めてんだよなぁ……。
「以前よりも随分と仲良くなってんのなあ!」
「んー?そうね、昼間も夜も仲良いですよ?僕達」
『さ・と・る!』
アー!とか言ってる兄がうるさい中で父がかき消すようにがははっ!と豪快に笑う。学長と並んでいそうな強面の父、豪快だ。
急に笑い声を止めて真面目な顔して腕を組み、悟をじっと見ている父。
「……仲が良いのは良いけれどな、女の子は駄目だからな?俺はその五条家が男系だと聞いて、悟君なら良いやと許したんだ」
『……何の話?』
ハルカはちょっと黙ってな、と片手を私側へと出す父に言われて私の知らない内に悟と何かのやり取りがあった雰囲気を察した。
兄もこの真剣な空気の中で発狂モードを中断し、黙って父を見ている。
「リョウコとの約束だ、春日ってのは女が生まれると不幸になるってな。だから本当に悟君を信じて良いんだな?」
悟を見る、それは私だけじゃない兄も、父も。3人の視線を浴びる悟はなんて答えるんだろう?
ふ、と口元に弧を描いた悟は私の肩に腕を回した。ひっつくと兄の顔がみるみる青ざめる(絶対その様子を楽しんでる)
「その事だけど……親父さんさー。男の子ばっかでも良いけれど結果的に別にどっちが生まれても良いじゃない?」
「は?いや、だって悟君……っ」
挙動不審になりつつある父に悟はもう片手で私の腹に手を置いた。
何?という感じで自身の腹部と悟を見た後に父を見る。兄にはちょっと触れないでおこう。
「お義父さんさー…女系出身の親でも男の子は生まれるんだよ?春日の分家だって見てみりゃ女系に男が生まれてんの。それは男系だって一緒でしょ?絶対にって保証はない、ただ確率は高いってだけ」
『……龍太郎の事?』
ひとつ頷く悟は父をまっすぐと見たままに。