第14章 鮮やかな日々よ
『……ね?あんな感じだから。昔からねー…。
だからセコム化するんだよ。以前の動物園に居た先輩も兄貴に目を着けられて速攻私を振ってきてるの、理由分かるでしょ?』
「オマエの兄貴ポケモンかなんかなの?いかく持ち?出会い頭にいかくしてるじゃんけ」
『攻撃力下げられてんの、悟…。慣れれば平気、悟にこれ以上酷いことしたら私も怒るけどさ、とりあえずは上がろ?』
玄関に上がり、リビングへ。お土産を父に手渡し世間話などをすっ飛ばして早速話が始まった。
そういう所がせっかちである、手も口も早い家族。父はにこやかでも兄はこれから歯医者で名前を呼ばれるのを待ってる患者みたいな顔をしてる。
「……で、俺だけじゃなくこいつも呼んでって事はだ、悟君……そういう事なんだろ?」
そういう事、で通じるのかな…?と心配ではあるけれど事前にちょっと話はしてあるから通じてる。
悟はにこにことしながら父に返していた。
「うん、ハルカのお父さん。この度娘さんのハルカさんと結婚しようかっての話をねー」
「……妹は駄目だ!やれねえ、とっとと帰んな!」
この中での反対は兄だけらしい。父は平然と悟ににこにこしながら対応しているけれど、兄だけはよくある"○○は渡さん!"の本来の父親のポジションに居た。
やれんと言われても、もう苗字が変わっているという事はふたりはまだ知らない。また、この状況で実は結婚してます!なんて言ったら兄は泡でも吹いてそのまま倒れてしまいそうだし。
ギラつく視線の兄をまあまあと宥めておこうっと…。
『兄貴、静かに。父ちゃんと悟が話してる。人の話を遮らないって母さんにも言われてるでしょ』
「でもハルカ、お前は騙されてるんじゃないのか?あん?確かにな、俺の妹だからものすごーく可愛いけれどな、こんなホストみたいな男じゃ絶対に駄目だ!人は見た目だけじゃねえ、中身で選ぶんだ……それに兄ちゃんみたいにお前も守ってくれる感じでもないだろっ!?」
伏黒だとか乙骨達にも大丈夫か?正気か?という具合に心配されたけれど、何故か初見である兄にも否定されている。