第14章 鮮やかな日々よ
歩きつつ電柱の影から私目掛け飛び出そうとしたりする呪いを悟が祓いながら家が近付いてくれば、家の前には呪いよりもおっかなそうな表情をした男ふたり。
見た目怖くとも優しいのは昔ながらのご近所さんも知ってる(ハズ…)
『家ん中で待ってりゃ良いのにねぇ……』
「それだけ心配なんでしょ、僕だってそうするもん」
私が軽く手を上げれば、父も"よっ!"と言っていそうな感じに手を上げ、シスコンは片手をぶんぶんと振っている。懐くドーベルマンの小さなしっぽみたい。
そんな兄を見て、悟が隣でちょっと浮かれてる。
「あら、意外と良いお兄ちゃんねー?……よし、おーい!」
悟もにっこにこで手を降ると、父は私と同じ態度なのに兄は威嚇してるのか手を振るのを止めてそっぽを向いた。
「あれあれ~?キミのお兄さんご機嫌ナナメね~?ハルカの旦那さんだぞ~?お義兄さんの義理の弟となる最強の男だぞ~?」
『そういう人なの、シスコンの兄だし悟は初対面だからまだ印象が良くないんでしょ』
ぼそ、とふたり会話をしてようやく家族の元に辿り着いた。
ふたりとも元気そうで何より。うんうん、と元曰く付きの家をちら、と見てふたりに向き合う。
『ん、父ちゃん、兄貴お久しぶり』
家の前に辿り着けば酷く懐かしく感じる家族達。そんなに離れてた訳じゃないのに何度か死に足を突っ込んだり、危険な状況下で未来さえも見られない時もあったから素直に嬉しかった。
危険な事に遭った事は話せない、そう簡単に信じられないだろうし言わない事が余計な問題を呼び起こさないだろうし。
きっと私は私で上手くやっている、と思ってくれている家族達はにこにこと機嫌が良かった。
「おう!お帰りハルカ!そして悟君も久しぶりだなあ!」
「どもども~悟君です、あっお義兄さんも初めまして五条悟と言います、僕ー!」
「………」
悟は片手にお土産を持っているので、片手で父と握手し、兄に手を差し出すも兄は手を取らない。拗ねているようだ。
悟をみると、にゅっ…と口が尖っていた。こっちもなんで握手しないん?とスネてる。
そんなふたりを見てか、まあ、上がってと父が…そして兄が家へと先に上がっていき、"ちょっとどうしたら良いかわかんない"的な困惑した悟の背を撫でる。