第14章 鮮やかな日々よ
全く関わりのない人であれば失礼だからと籍を入れたと知ったらその姓で呼ぶけれど。仲の良い人であれば"旧姓でもどっちでも呼びやすい方で良いよ~!"だった。下の名前なら無難だけれども苗字となるとこういう問題があるからね。
そんな"みたらいで良いよ"を聞いて意義を唱える大人が一名。
「やだ。悠仁と恵、ハルカの事は五条って呼んでっ!」
「俺、釘崎と同じくハルカって呼ぶわ」
「同じく」
「えーーっ!!?遠慮しなくて良いのにー!」
むくりと顔を上げて、ふたりに向く。いきなりだから視界に入るクラスメイト達はびっくりしていた。
『じゃあそれで』
「やだ、五条って呼んで!」
引き寄せようとした悟の頬を片手でぐいぐい押し返しながらこうして私は皆からハルカと呼ばれる様になった。
……なった、のは良いけれど。
にやにやする悟が覗き込んでる。
「もーやだぁ、必死に我慢してたのにもうにこにこしちゃって!そんなに嬉しいの?」
『……もう面倒くさい、良いよもう、どうせ隠しきれないしフルフェイスも無いんだ、私は開き直っとく!』
いちいち隠せないならと開き直った。
開き直れば午後の体術の時間に過剰な程に先輩達にからかわれたのは言うまでもない。