第14章 鮮やかな日々よ
124.
今日は久しぶりの学校。部屋でわくわくしながら新品の制服を着終えた。
一年はもちろん呪術実習や任務を課外学習という名目で高専の外に出る事はあるけれど、まだまだ呪術界のひよっこ。座学が多めな気がする。
そもそも15、16くらいから通い始める学校だから一度普通に高校を出ている私には人生のおさらい感がある。一番の目的は呪術関連。可能であれば呪術関連のみの座学だけ受けて実習を受けたいけれど悟がこのままで良い、と皆と足並みを揃えている。
三週間の授業を抜けているとなるとその皆との遅れの幅が大きい。そもそも私は遅れて編入してしばらくは呪術についての補習、そのうちシゴいて強くするよと遅れていた座学から稽古をするようになっていた。それが監禁されていた間の遅れ分、多分座学に一度戻るようになるとは思うけれど……。
「忘れ物なーい?」
アイマスクを装着してもう靴を履いて玄関に居る悟。
トットット、と久しぶりのストッキングの感覚に学生にまた戻ることの出来た嬉しさがこみ上げる。そして昨日の事が嬉しくて、来週末が楽しみで表情が制御が出来なくなっている。
……こんなでも一応、呪力については制限はしてる、出来ているけど。
玄関までバッグを持って行けば悟は私の顔を見るなりはははっ!と笑っている。
「もー昨日からずっとそれじゃーん!僕が照れちゃうんだけど?」
やだ、笑われた!
シャッ!と音を立てて胸元から口元がちょっと隠れるくらいのファスナーを上げる。
悟は私のその行動にあーっ!と騒いだ。
「もー、それ駄目!昨日えっちした時と朝のキスマークが隠れちゃ……ちょっとヤダ僕の奥さん超にっこにこー!かわいー!」
『……うるせっ』
耐えようにも堪えきれないのに燃料投下してきた悟。そういえば奥さんでした。もう緩んじゃう、マスクでもしてようかなぁ。部屋に戻る?面倒くさいなぁ…バッグに入ってなかったっけ。
色んな感情の中で悟に鍵をさっさと締められてしまった。このまま行くしか無い。
悟と一緒に寮から学校へと向かう。
……駄目だ、必死に平然を保とうとしても出ちゃう。思わず隣を歩く悟を見上げた。
『助けて悟……にやにやが止まんない…』