第14章 鮮やかな日々よ
本気で言っているのだろうか?いや…これは罠かもしれない。
沖縄フェスとかいって、特産物や時間毎に踊りが見れる会場に行く事を指しているかも。もしくはVR。VRゴーグルを着けての視界だけ沖縄観光。
あっ!沖縄の任務をちょっと脅して取って任務ついでにってコースがあるかも……。
様々な可能性が生まれ、腕を組んで考える。
普通に沖縄に旅行なら嬉しいよ?それはもう、めちゃくちゃ嬉しい。けれども私が籍を入れた先の五条家当主の悟君は油断ならない人だから。
この目の前に居る男、五条悟とは私が目にゴミが入って目薬を差そうとした時に"僕が差してあげる!"と寄って来ては、開いた口に平気で目薬を差して来る男だ。怒って真面目にしてよ!と言うと、また二回目もしてくる。三度目は真面目にしたけれど、目薬はもう二度と悟に頼まない。
目を瞬き、ちょっと首を傾げる悟。ちょっと不服そう。
「えっ…何その塩対応…平然としすぎじゃない?普通ヤッター!って喜ばない?オマエ、う、嬉しくねえの……?ほら、沖縄だよ?沖縄……あっ、水着とか新調してないとか?」
この反応はふざけてるんじゃなくって。マジな沖縄みたいで。
だんだんとあらゆる疑惑が塗りつぶされて、沖縄旅行という単語だけが脳裏に残った。
お菓子に手を伸ばしかけた手を引っ込めて、少し前傾姿勢で悟の顔をじっと覗き込んだ。
『えっ本当に沖縄?都内の沖縄フェスとか任務とかじゃなくて現実的に…行く方の沖縄……?』
悪いこと言いました?くらいにキョトンとしながら頷く悟。この反応は悪戯関係ないやつだ。本気の…沖縄を感じる!
テーブルに手をつき、椅子から私は立ち上がった。
ガガッ、と椅子が押し出され私はそのまま対面に座ってる悟の元に歩み寄る。えっ?という表情の悟は椅子に座ったまま私を見上げていた。
『……ちょっと立って』
「な、なんで?理由あんの?」