第14章 鮮やかな日々よ
122.激裏
まるで夢心地、嘘みたいな急な日常の始まりの中。悟が玄関を元気よく出ていってから私は部屋を掃除していた。
しばらく留守にしていたというのにちゃんと手入れがされている。
……私と違って、悟は教師であり特級呪術師で忙しかっただろうによく日常を保てられたなって思う。甘えたり、子供みたいな事をするけれど、そういう所はしっかりと出来る男なんだって思いながら大掃除を覚悟していたんだけど。普段通りの掃除を始めた。
ついでに何か日常品で必要なものも把握しておこう。
そう思ってティッシュや洗剤なども確認すれば、所々違うメーカーの商品だったりする。それを見るに備品なども補充されていたりして、どうやら悟が私が居ない間も私の部屋で過ごしていたみたいだった。
『でも自室あんのになんで私の部屋で過ごすんだろ……?』
ひとり疑問を口にすれば届くのは自分の耳。
部屋を繋げた状態で悟の自室もあるってのになんで私の部屋ばかりなんだろう?その疑問の答えを知りたくて隣の部屋の壁を見る。
何度かきょろ、と壁の穴から見たことはあったけれど。
……掃除と備品チェックはこの辺にして。
乾いている洗濯物をたたみ、服を収納にしまい終えてから、興味本位で悟の部屋を覗いてみる事にした。別に悟に禁止されてるわけでもないし……私の部屋にずっと居るなにかがあるんじゃないかって好奇心で。
空いたままの壁の四角い穴。
そろー…っと足を踏み入れ、誰も居ないと思うけれど念の為。
『お邪魔しまーす……』
といっても私の部屋と変わりない部屋、ただ物は多かった。
服とかクローゼットに入らないのかハンガーラックが置かれて掛けられてる。めっちゃサングラスがケースに並んでるし。対して気にしてなかったけれど、もしかして毎日違うのしてたりするの?悟って。ラウンド型とかブラウンのとか、薄めな色付いてるのとか…色々なものは見たけれど。