第14章 鮮やかな日々よ
「さて!早速だけれど!いってらっしゃ~い☆……のちゅうして、ハニー!」
『調子が狂うんだけれど…』
ベッドの上や朝食時と散々話しても意味がなかったようです。ただ甘い単語が飛び交っただけかいっ!
ならば、と私はくすりと笑う。
『よし、行ってこーい喜久福』
「えーやだ。わんちゃんの名前みたいな感覚で呼んだでしょ?なにそれ、草原でフリスビーでも投げたシチュ?僕取ってこないからね?
てか喜久福美味しいんだからね?ハルカもいっつも食べてるじゃん!ずんだうまー、ほうじ茶うまーって!」
困惑する悟がまだ文句を言いそうだから首に手を掛けて、ちょっと尖りつつある唇にさっさとキスをした。
甘さとは違ったミントの味に変わってるけれども、触れ合って暖かい互いの唇は甘いひとときを生み出していて。
離れた瞬間ににっ、と笑った悟がそのままつま先立ちで長身の悟から離れようとしつつある私をぐい、と引き寄せる。
『んっ、ぅ…っ』
抱え込むように深く口付け、舌が絡み合うほどに深く混じり合う。
絶対、この黒いアイマスクの先では悪戯っぽい瞳で笑ってる…。
ゆっくりと私を開放して、顎に指先を触れられて。
「……可愛い生徒達へのホームルーム終わったら、可愛い奥さんをベッドで抱き潰すから覚悟して待ってなよ?」
それは宣戦布告。もはやお部屋デートよりも先に私は悟に抱かれるらしい。
『……おーこわっ!放課後まで帰らなくて良いよー?いってらっしゃーい』
「ホームルーム終わったらすっ飛んで帰ってくるから。いっぱいえっちしようね?ハルカ?……ククッ、久しぶりだしオマエをたくさんイカせてあげるね…?」
アイマスクの下の口は弧を描いてドアを開けると、"行ってきます!"と元気に出ていった。