第14章 鮮やかな日々よ
『もちろん寂しかったよ。酷く怖い思いだってしたからあの檻の中でせめて楽しかった事を思い返そうとするんだけれど、結局悟の事ばかり考えるようになってた。
不安になっていろんな事を諦めようって思った時も心の支えになっていたっていうか……。何もない所だったから顔も声もいろんな悟を忘れかけていて好きだったのかも分からなくなっていた時もあったけど…、』
揉む手は寄せた状態で止まってる。しっかりと私の声を聞いているみたいだ。
『……久しぶりに逢ってもやっぱり悟の事好きなんだなって』
「うん……僕達、呪い呪われてるね」
背後からギュッと抱きしめられて首筋に顔を埋める悟の頭を何度も撫でた。
とても愛おしい。
私の最愛の人。首筋にとても熱い吐息が掛かって撫でる手を止めると。何度もチクリとする、悟だけの私の印を付けていった。