第14章 鮮やかな日々よ
平日なら明日一気にやれば良いのでは?の私の提案に疲れてるだろうしお家デートでしょ、で速攻切り伏せられる会話。
ほんと、なんか…デジャヴだな。恋人のフリから本当の恋人になった時もいつもと変わらなかったし、今もそう。日常はただ普通に続いている。
よく煮詰まって美味しくなったうどんを食べて日常に戻れた幸せと、さらなる幸せを噛み締めた。
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「そろそろお風呂入ろうよ?」
家族に連絡を済ませて、ただひたすらにベッドに座る悟の脚の間に座っていれば(ずっと抱きつかれていた、やはりツカモト2号だわ)程よい時間にお風呂の誘いを受ける。
シャワーは浴びたけど、お風呂にひとり…というか拘束なしで入るのも久しぶり。ちょっと楽しみになってきた。
手に持っていた携帯を悟にしがみつかれながら小さな机になんとか置く。
それにしても時間の感覚に戸惑うよ、あっという間だった。
『へー…時間経つの早っ!捕まってた時の3倍速くらい早いんだけど』
嫌なことばかりあったからこそ時間の進みが遅かったんだろうなぁ…。背中からの暖かい熱を持つ悟はぎゅっと私の肩…いや上半身を抱きしめる力を強くして右肩で囁く。
「……あんな危険な目に遭わせてごめんな?もう離したり絶対にしないし逃しもしないから…覚悟しとけよ?ハルカ」
私はそのぎゅっと抱きしめる腕に触れて右手で肩に乗ってる頭を撫でる。
本当にあんな目に遭ってからひとりでは生きていけない私としてはその悟からの束縛が嬉しかった。
『うん、覚悟は決めてる。悟こそ私を離したり私を逃さないで』
「ククッ…上等。オマエを僕から離してたまるかっての。
さっ、風呂行こうぜーい」
そのまま悟は私を抱えたままに持ち上げ、背を押す。
ぐいぐいと押す際に発する言葉はまるで相撲のファイターの如く。いや、まるでじゃないそのもの。
「ファー、ファファーファファーファー!」
『止めろや!サトモンド五条!あと着替え!』
随分とはしゃぐ悟は急かしてる。早くお風呂に行きたいらしい。
ふざけながら力を加減してるとはいえ。
『そのファーファーやんの止めろや、人の背中をボーナスステージにするつもり!?』
「背中ではない…僕らの今から向かってる先がボーナスステージなんだよ」
『なぜそこでドヤるねん…(今日はしないって言ってたけど本当に我慢出来んのかな……この人)』