第14章 鮮やかな日々よ

『えっ！今日はすき焼き食っても良いのか!?』

｢ああ、しっかり食え…ご飯のおかわりもあるぞ～｣

ドヤ顔で返してくる男。うわっ、マジでやるのか、これ…。
寮の私の部屋でのやり取り。部屋の中が換気してるのに蒸し暑く、このやり取りがまるで狂ってるみたい。
悟の掛けているサングラスがより危うさを醸し出し、どこぞで聞いたやりとりをしながらにお互いに食べ始める。

急に狂四郎ごっこしよう、と言い始めたのは悟だった。なんつー遊びだよ。リアリティの為カレーの時にして貰いたい。
……いや良くないか！カレーじゃなくて良かった。
熱々の甘いタレで煮込まれた白菜が卵に絡むと更に美味しくなってしまう。もう普通にごっこだとか関係なくうまうまと食べてしまっていると、私の卵入りの取皿を悟は手に取りしいたけや豆腐、お麩に肉などを突っ込んでいく。
そして私の元へとウインクしながら置いた。

｢遠慮するな、今までのぶん食え……｣
『おいこの流れやばくないかぁ～？毒ガス実験開始速攻マーライオンコースだぞ？ガス無くとも変なモン入れてないよね？ね？？』

スン…、と真顔になった後に悟はすき焼きの湯気の向こうでウインクしながら手でハートを作ってる。

｢美味しくなぁれ♪って、悟君の愛情が５割ほどたっぷり入ってます｣

それは、まあ…良いけれど。
肉厚のしいたけを食べつつ、ふーん…と返すと悟はそれから、と続ける。

｢それから５割ほど、受精卵の着床を促すフェロモンを…、｣
『５割足す５割は鍋一つじゃねえか、食材の事も考えろよ～？それから今日はしないんだったよね……？』

にゅにゅにゅ…、と口が尖って今にも、ちぇーっ、とか言いそうな悟は箸を手に持ち、私を指す。

｢もー、くっちゃべってないでちゃんと食べなよ、栄養しっかり摂らないと駄目でしょー？｣
『どの口が言う～？』

冗談と文句を互いに言いつつ食べていく。
美味しい美味しいと目の前の悟も食べていくと鍋の具材も捌けてきた。そろそろ私はお楽しみの……。

『ふふ…、すき焼きと言ったら後半、卵かけご飯やろが…』
｢写輪眼発動！その食べ方コピーしちゃう！｣

取皿の中の卵を傾けき掛けた私の動きを完コピする眼の前のはたけカカシもとい五条悟。