第14章 鮮やかな日々よ
某、何でも知ってる大学教師の様に身振り手振りで乙骨に迫る悟に手でしっしっ、と意思表示する夏油。
彼はこちらを向いて愛想良く笑った。
「じゃあ私からも一言祝わせてくれるかな?
悟もハルカも入籍おめでとう。悟は学長の言う通りにあともう少し真面目になりなよ、ハルカも愛想を尽かせて逃げるよ?ハルカ、悪ふざけに乗ったことは謝るよ。もしも悟に愛想を尽かせて飽きたならお詫びに僕の所にでもきて、話相手くらいにはなるからさ!」
ぱちん、とウインク。悟の親友って事もあってさらさらと良く言うなぁ、と青筋立て掛けの悟を見てから夏油にサムズアップした。途端に両肩にやや乱暴気味に手を置かれ、ひょいと持ち上げられ、そのままに担がれる。
『ぐえっ…、ちょっといきなり抱えなくてもっ』
「傑に渡しません!てかなんで全員そういう真面目にだとか逃げられるとか言うワケさ?縁起でもないでしょ!?」
かつて乙骨や伏黒の前でやられたように肩に私は担がれ(抵抗も意味なく)カエルの様な声を出しちゃったわ。
悟が皆に背を向ければ私は皆の方に上半身を向けている状態。皆が皆苦笑いではなく笑っていた。
『お祝いのお言葉ありがとうございます、この様な退出方法…不可抗力ですけれどすみません!悟、私の靴!くーつー!』
「はいはい、持ちましたよースニーカーのシンデレラー」
……本当に大丈夫かな、この人と。
世間からは奇跡が消え、奇跡を受けられなかった者たちはたった一日過ぎただけでもう既に声を上げている。けれども奇跡を受け取った人達もいて、後払いという事もあるしリベルタはもう解散してる。あの奇跡はいまは何処へ?なんてテロップを流そうともそんな事は時間とともに消え去っていくだろうに。
組織自体は解体されてもまだ呪力が溜められたタンクや、建物の処理はまだ。きっとこれらについてを学長達が関わっていくんだろうな、と考えながら私は悟に部屋まで抱えられていった。