第14章 鮮やかな日々よ
でもまさかその中に伊地知や七海が居たなんて私は気が付かなかった。何故なら視界は閉ざされているから。声を聞いて判断したとして声を出せない私にはどうしようも無いし、怪我をしてる人がこんな怪しい場所に来るのならまず高専関係者は来ないと思っていたし。
龍太郎の参戦は驚いたけれど。
「……で、ハルカ、何故外に出られない状態で悟と入籍が出来たかが分からないんだが…」
学長の困惑した声色を聞いて、私は夏油と悟をちら、と見やる。夏油は顔を逸し悟はドヤ顔をアイマスクの下……顔の下半分で表現してる。
すっ…と私は片手を上げ、夏油と悟を指差した。
『以前何かあった時の保険に書いておいたものをここにいる二人が区役所に提出したんですよ、ご丁寧に区役所前の写真と提出寸前の写真を面白おかしく撮って』
「いや私は悟に巻き込まれたのであってね、悟ひとりが行けば良かったのに、」
「でも写真残しておいた方が良いでしょってノリノリで自撮り始めたの傑じゃーん!僕に送った二枚はまともだけど傑の提案でポテコ指先にはめつつふざけて撮ったやつも、」
ピーチクパーチクと騒ぎ出す28歳児とその親友殿。乙骨はおろおろとして夏油を落ち着かせようとしている。
ふと前を見りゃあブチ切れる寸前の学長。ガッデム来そう。
『……私の体力が戻り次第もれなくキン肉バスターをしてやる……』
「「やめて」」
"皆の前であられのない姿をさせてやる、証明写真にしてやる"と追撃して口を一文字にして黙った。再びの沈黙に包まれて…。
そんなわけで途中で止まった話を救出されるまでの経緯を話した。
龍太郎を押し付けられてその話をしようとすると悟は耳を塞いでいた。単純に龍太郎とフェイクであるとは言え交わるのを聞きたくなかったのか、私に向けてのお土産の、悟が出した精液をこの場に出されたくなかったのか……可哀想であるので、お土産の件には触れずに心のなかにしまっておく。いや、私と龍太郎と出して持たせた本人しか知らない事か…。
そうして話終えて、助けて貰った事に感謝をして私は頭を一度下げる。