第14章 鮮やかな日々よ
なので任務の終わり頃にトイレに行ってそこで襲われた所から始まった。補足として任務中に複数の呪霊が発生した為それらを巻き込んでの領域展開後であった事も。
全ての人物の顔は当時覚えていないけれど、私に電気浴びせまくった雷槌顎ヒゲ野郎(グロムって呼ばれてたらしいよー、と悟が情報をくれた)や細めの男などをあげた。他にもぱっと見て全部で4人は居たような気もするけれど。
麻袋に入れられての目覚めはあの三週間を過ごした建物。その時点から拘束具が着けられていた事。縛りをその時点で迫られた事。
初日や二日目、三日目くらいは大体が分かる。慣れないからこそ覚えるから。生活パターンとして私は檻と応接間と実験を行う場所の行き来をしていた。
それらを話していると、相槌を打たれたり、時々食事は出されたのか?などという質問もある。私が栄養失調にもなったからだと思うので、回数や一食の食事内容などははっきりと伝えた。また、そういった生活がクリミアと呼ばれる世話係がやっていたという事も。
「名前が付けられて居るのは呪術が使える人達だからですか?」
乙骨からの質問にひとつ頷く。
『はい、クリミアもそうなんですけど、そのグロムだとかエヘクトルだとか…そういう名前をリベルタのボスが付けます。私も助け出される数日前からラブって呼ばれ始めました』
直ぐ側に座る悟。あぐらを崩して楽な格好をしてじっと私を見てる。
「クリミアって、クリミアの天使、ナイチンゲールから取ったって感じでしょー、調べたら反転術式は使えないけれど医療機関に居たらしいし。
で、ハルカはリベルタのボスに目を掛けられてたからその名前付けられたの?」
『……奴隷って意味の方のラブ、だってさ。無精髭の人が言ってた』
「まじか。それきっついね~…」
私側の報告が終わると、私が知ることが出来なかった、裏での動き。目の見えない状態で何が起きていたかをこの場で教えてくれる。
私が最初に客として呪術での治療…という名の奇跡を起こしたのはやはりアスリートだった。彼女が外でパフォーマンスをしたおかげでどんどん呼び込まれていったと。
……確かにあれ以降に人が増えていったもんなぁ…。