第14章 鮮やかな日々よ
『それについては昼も夜も今日はご遠慮致しますわ』
「わーってますぅ~!流石に今日は僕も久しぶりだからってしないって!
でも明日お部屋デートだから夜はしようねー、今日は猶予をキミに与えてあげるって話」
片手で背中をとんとんと軽く叩く人物の顔をじとーっと見ればハミングをしてる。フンッ、フフーンフフン。
やめんか、つくってあそぼしようとするな!肘で隣の人物をとんとんとするとまるで悟の背景に花を咲かせているみたいに爽やかな雰囲気を纏っている。それくらいに愉快そうな悟。
「僕ら、恋人じゃなくてもう夫婦なんだから良いじゃーん!
キミは奥さん、僕は旦那さんですよ?そりゃあ夜は…するでしょ?」
リベルタでは組織の為の"縛り"を拒んでいるうちにこっちではある意味の"縛り"を結んでた。それは耳にしたくらいで実感は無くて、夫婦だとかそう言われれば戸惑う。嬉しいのと困惑の間にぐるぐるとする中で嬉しいが勝ってしまい、必殺技の"奥さん""旦那さん"で顔面温度が死んだ。
ぷいっ、と悟が居ない側へとそっぽを向いても悟にはしっかりと見られてる。
「クククッ…あらやだ赤くなって可愛いー!最高だねー、僕の可愛い奥さん。
あ、でももう学長ん所だから普通になってた方が良いよー変に誤解されたいなら良いけどーってか会話も聞こえてたりして?」
『そ・う・い・う・所!だからねっ!?』
楽しそうに笑いながら悟はドアを開けた。
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その一室には夜蛾学長や夏油、乙骨が待機していて乙骨は苦笑いしていた。多分部屋前のやり取りが筒抜けだったんだろう。終わった……という絶望感で顔の熱も一気に引いたわ。
「ゆっくりしたい所すまないが、リベルタに捕まっていた間の出来事を報告して欲しい」
夜蛾学長からの言葉。
ちら、と悟を見て私は床にそっと正座して口を開く。
この集まりは、覚えている限り捕まってからどういう事をされ、どういう事をしてきたかを説明する場……らしい。