第14章 鮮やかな日々よ
118.
カラン!と大皿の内側へ、悟の手から離されたスプーンが滑って音を鳴らす。山盛りだったのに米粒ひとつも無い状態へ。
『「ごちそうさまでした」』
チャーハン以外は自分の意志で食べていた。食材が無くなった食器だけがテーブルに置いてある。つまりは完食したって事で。
かちゃかちゃと音を立てながら重ねられる食器を私はどんどん重ねていく。
「ちゃんとご飯、食べられるようで良かった」
座って頬杖をした悟が微笑みつつ言ってる。
美味しくてもりもり食べてしまってたな。大皿にある程度の食器を乗せたので、椅子から私は腰を上げた。
『美味しかったよ、悟のご飯。用意してくれたし片付けはせめて私がやっとくからゆっくりしてて』
テーブルを回ってシンクへ…、と悟が視線で追いかける。
洗い物をするかー、という時に椅子を引く音。振り返ろうとしたら背後からお腹周りに回される腕。頭に乗せられた顎。
「はい、そのままでー。僕はこの状態でゆっくりするから。
離れていた分の補給をしないと無理……」
部屋を動き回る掃除時だったら動けない!邪魔!…となっていたけれど洗い物くらいだったらそんなに動かないし。
何よりも悟に触れられている安心感に頬が緩む。
『どうぞご自由に。戻ってこれたなーって感じもするし、悟にぎゅっと後ろから…
おい、厭らしい手付きはやめろー?』
腹部の手はまさぐり、胸元へ。鷲掴んで揉んでいる背後の男。
しかも頭上から笑い声を殺してる息遣いが聴こえるんですけど。
「いいじゃん、減るもんじゃないしー」
『いや、集中出来なくなるから。集中力が徐々に減少してくから』
注意も虚しく背後からの抱きつき&セクハラを受けつつ片付け、少し休んだ後。悟に連れられ高専内の関係者に会いに行く事になった。制服ではなく私服を着てアイマスクをした悟と回っていく。
まず始めに勝手に抜け出した(正しくは悟に部屋まで連行された)医務室へ。
ガラ、と医務室のドアを開ける悟。中へ入れば椅子から振り向く硝子がふっ、と笑って立ち上がる。
「久しぶり、ハルカ。あーあー…随分とやつれてるなぁ…酷い扱いを受けていたって聞いたよ。
ちゃんと食べて休んで体の調子を整えたら、医務室をまた支えてくれよー?」
『はい……大っ変、お騒がせしました…』